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「カレンダーを出す」という特別感を取り戻したいハゴロモに聞くカレンダー市場の最新動向

 年末の書店店頭を華やかに彩るカレンダー。長年にわたり多彩なラインナップを提供してきたのが、カレンダーメーカー大手のハゴロモだ。タレント、アニメ、動物、風景、アスリート─時代の空気を切り取りながら、人々の暮らしに彩りを添える季節商品の魅力とは。最近のカレンダー市場の動向などについて、ハゴロモ出版企画部・桐山智行氏に話を聞いた。

─カレンダーは40年以上作られているんですね

 1980年代から90年代にかけて、アイドルや芸能人のカレンダーを多数手がけてきました。昔も今もカレン
ダーはもらうものというのが主流ではありますが、好きなカレンダーを買うという提案を始めたのも当社だった
と聞いています。
 今もタレント、アニメ・キャラクター、動物、風景、アスリートなど、各ジャンルで時代を象徴するコンテンツを
カレンダー化しており、特に年末シーズンに店頭を彩る季節販売商品として好評です。また、書店などの店頭
を使った発売記念イベントの企画・開催を通じて、販売促進しています。さらに、企業の配布・販促用、ファンクラブ向けカレンダーなどの提案、制作・製造もしています。
 書店向けには毎年、同業他社と共同で全国の書店に貼るポスターを作って、予約を受け付けています。

─カレンダー市場の動向はいかがですか。

 書籍など出版業界が厳しいのと同様、カレンダーの市場も縮小しています。昔は10万部でヒットでしたが、
現在は1万部がその水準になっています。一方、サイズの違いなどはありますが、タイトル数はおそらく3倍
ほど増えています。価格もタレントものですと1980年代は1800円くらいでしたが、今は3000円台が主流です。
ただ、カレンダーはコアなファンが年に1回必ず買ってくれたりしますので、値上げによる大きな影響はそれほ
ど感じません。

客単価を上げる戦略にシフト

─御社での取り組みを教えてください。

 当社は毎年100タイトル前後のカレンダーを出版しています。その6割ほどが女性・男性タレントです。今
は昔ほど突出した人気コンテンツが少なく、趣味やファンも細分化されていますので、それだけ多くのタイトル
が出てきています。
 ですから、当社では部数ではなく、客単価を上げる戦略にシフトしています。例えば、声優や2・5次元俳優などのコアなファン向けカレンダーを増やし、発売記念イベントや握手会を開催したり、VIP向けに限定施策を販売していたりします。

─最近、人気のジャンルは。

 動物カレンダーは犬や猫が中心ですが、依然として人気がありますね。例えば、当社の『開運!! にゃん
たまωカレンダー』のように、より〝とがった〟企画のカレンダーも増えています。出版社さんが雑誌などで
掲載している面白い企画を、当社がカレンダー化するケースもあります。

─サイズも変わってきていますか。

 カレンダーにはデジタルでは味わえない紙の価値が残っています。男性向けは大型サイズ、女性向けやキャラクターものは小型サイズや卓上サイズが現在の主流です。また、コロナ禍でテレワークが増えて、卓上カレンダーの需要が一気に高まりました。

─カレンダー販売における今後の展望は。

 当社は特に、「広く浅く」売ることから、「狭く深く」売ることへと移行しています。コアなファンにより喜んでい
ただける商品や体験を創造し、提供する会社になりたいと考えています。
 一方、業界の展望としては、かつてのように「カレンダーを出すことがステータス」という価値を取り戻した
いと思っています。タレントというと、昔は一握りの人気アイドルしかカレンダーを出せなかったですし、カレン
ダーを発売すること自体が「お祭り」のような存在でした。カレンダーを出すという特別感を取り戻したい気
持ちもあります。
 例えば、日本最大級の野外音楽フェスティバル「フジロックフェスティバル」の出演者ラインナップが、例年
渋谷駅前の大型ビジョンで発表され、それを見に多くのファンが集まります。あのようなワクワク感を作り出せ
ないか、昔あった年末の風物詩的な雰囲気を取り戻したいです。

─ありがとうございました。

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