洞本会長「入って良かったと感じる会に」
関西日販会の第12回通常総会が10月17日、大阪市都島区のザ・ガーデンオリエンタル・大阪で開かれ、主要事業の商談会「パンパク」に加え、出版社との接点を拡大する目的でオンライン活用を進めるなどの方針が示された。
総会には会員書店64人(委任状含む)が出席。冒頭、洞本昌哉会長(ふたば書房)が「コロナも明けたが、戻ってくるはずの売上がなかなか戻らない。こうして同業者が集まり、『こんなやり方で成功した』など意見交換をして有意義な日にしたい。『日販会に入っていて良かった』と思われる会にしていきたい」と会の方向性を示した。
今年度の事業計画では33回目となる同会主催の商談会「パンパク」を来年4月17日に開催することが発表された。さらに、出版社が東京に集中する現状を踏まえ、オンラインを活用して出版社が会員書店限定の商品紹介や企画説明などを実施する仕組みの構築を目指すと報告。
安東興副会長(文学館)は「リアルタイムで参加できなくてもウェブで後からでも見られる仕組みにしたい。パートスタッフなどにも見てもらい、売場に生かせるシステムにするために準備を進めている」と説明した。
役員改選では洞本会長が再任され、洞本氏は「総会やパンパクなどのイベントにおいて、招きたい作家や編集者、参考にしたい書店などがいるなら声を掛けてみる。ぜひ提案してほしい」と呼びかけた。
元明石市長・泉房穂氏「本は優しい町をつくるのに不可欠」
第2部は、明石市長を3期務め、『社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ』(ライツ社)などの著書を持つ泉房穂氏が「やさしい社会を明石から」をテーマに講演。
泉氏は市長に就任すると、明石駅前の再開発計画を白紙撤回し、開発ビルに図書館と大型書店をオープンさせた。泉氏は「子育て支援のイメージが強いが、明石を『本のまち』にしたいとの思いが強かった。本は優しい町をつくるのに不可欠な要素」と断言。
「市民アンケートでも駅前に求めるものは断トツで図書館がトップ、2位が書店。周囲は大反対だったが、お金がないのは国でも市でもなく市民。感受性豊かな幼少時代に、いい絵本が買えない。図書館で借りて、少しでも助かったお金を地元の商店街で使うことで地域経済がまわる。蔵書は同ビルの書店を通し、毎年改訂する本やベストセラーも書店に任すことでお互いメリットが生まれる」など人口増の市となった成功例、市民ファーストの思いを熱く語った。
地域行政動かし図書購入費執行
懇親会は出版社ら150人以上が参加。出版社を代表して東洋経済新報社・田北浩章社長が「現在、流通面では1年前では考えられなかったような事が起きている。しかし、どういう流通の形になっても書店が存在しなければ出版社は存在し得ない。力を合わせて苦しい状況を乗り越えていきたい」とあいさつした。
日本出版販売(日販)・奥村景二社長は「和歌山の自治体で、図書購入費が予算通り執行されていない現状を受けて、日販会会員の地元書店と当社社員が、議員や教育委員長らに掛け合い、次年度は満額近くの執行が議会で決まった。動いたからこそビジネスになり、我々は流通ができた。こういった動きはとても大きな意味を持つ」と一連の行動を称えた。
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