令和6年大阪出版販売業界新年互礼会が1月9日、大阪市天王寺区の都シティ大阪天王寺で開かれ、出版社、書店、関係者ら約100人が参加。冒頭、能登半島地震による犠牲者に対して黙とうを捧げた。
大阪府書店商業組合・深田健治理事長(ブックスふかだ)は「大阪組合の主力事業『おおおお』において、昨年は4年ぶりに表彰式が開催でき、作品応募数もコロナ前に戻ってきた。受賞者した子どもたちの顔を見るとこちらも元気が出る。今年は帯コン20回目。記念的な企画を考えている」と出版社、販売会社に協力を求めた。
また、日本書店商業組合連合会(日書連)活動について「マージン30%を含む経営環境や収益の改善などにも取り組み、経費削減、新しい企画、商材研究にもチャレンジする。組合書店の力になれるよう頑張っていきたい」と述べ年頭のあいさつとした。
日本書籍出版協会が運営する書店イベント紹介サイト「Book Event Navi」について小学館の相賀昌宏会長が登壇。「名称に『イベント』が付いているが、コーナーの工夫や棚自慢をどんどん寄せてもらい、見た人が『当店もやってみよう』と思えるサイトをつくっていきたい。不十分な点の指摘や要望など意見を出してほしい」と呼びかけた。
日本出版販売・金丸貴之関西支社長が「災害の影響で買い物客の消費マインドを冷やすのかと思ったが、阪神百貨店(大阪市)は年始の売上が前年比10%以上伸びたと聞き、関西のマインドは全く落ち込んでいなかった。当社でも関西は、雑貨など本以外の商材を中心に他支社より数字がいい」と関西地域の特性を語り、書店組合が取り組む北海道と九州グルメのカタログ販売について触れ、「地域のお客が何を求めて、どんな店なら来たいと思うかを考えてチャレンジされることは素晴らしい」と称えた。
読書バリアフリーも考える年に
中締めに立った大阪出版協会・矢部敬一理事長(創元社)は、「芥川賞受賞作の『ハンチバック』(市川沙央)を読んだ。紙の本、目が見えること、本を持てること、書店へ自由に本を買いに行けることを憎んでいたという厳しい表現をしている。2019年に読書バリアフリー法ができたが、まだ道半ば。障害者の方だけの問題ではなく、多様性のある生活を送るそれぞれがどう考えて読書に関わっていくのか、出版業界はまだやるべきことがあると考えさせられた。流通で大きな変革があるが、同時に読書バリアフリーについても考え、より良い読書環境になる運動にしていきたい」と語った。
コメント