日本出版販売は、兵庫県神戸市に出店したベーカリーカフェが運営する一風変わった書店のプロデュースを手掛けた。運営するのは全国に「パンとエスプレッソと」を展開する日と々と(東京・山本拓三社長)。6月30日、明治大正期に建てられた洋館が立ち並ぶ異人館街に「パンとエスプレッソと異人館」をオープン、同時に2階部分を書店運営は初めてとなる異国情緒体感型書店「異国のトビラ」として開設した。
同社はこれまでも築200年以上の古民家や昭和レトロな建物などに積極的に出店し、こだわりのコーヒー、パンが人気を呼んでいる。今回の出店地は神戸異人館街で明治時代に建てられた洋館・旧ディスレフセン邸。前住民は中国人だったこともあり東洋の雰囲気も散りばめられている。
日と々と・二反田幸平エリアマネージャーによると「当社は立地的な面より、自分たちが楽しく仕事ができる、面白そうという理由で出店を決めている」とし、さらに「社長の山本は不動産関係の仕事をしていたこともあり建物に対する興味が強く、ここもとても気に入った」という。
1階は店内とテラス合わせて60席以上の「パンとエスプレッソと異人館」。「異国のトビラ」は2階約50坪に18席、バルコニーにも6席を設置。洋館のイメージそのままに各部屋のカラフルな扉を開くと同店コンセプト「ひらいた瞬間、旅がはじまる」の通り異国情緒あふれる空間が登場する。1階で注文したパンや料理、ドリンクを飲食しながら読書ができる。
最高の贅沢を
商品は日本出版販売が、店名にもある「異国のトビラをひらく」に加え、「日本のトビラをひらく」、「未知のトビラをひらく」といった3つのテーマに沿って選書。異人館街に構える世界各国の関連本、外国人観光客向けに「和」を意識した本、アートや暮らしといったジャンル約500冊を並べた。
日本出版販売中部・関西支社・元田健太係長は「『扉を開く』がテーマなので本も表紙、ビジュアルを強く意識した。まずは目を引いた表紙の本を開いてほしい」と話す。
オープン以降、カフェの来店客は順調に推移し、2階の利用者も増加傾向だという。二反田さんは「各店、『日常の贅沢をお客様に提供する』を掲げて運営しているが、ここ異人館は日販さんの協力を得てこれまで体感したことのない『最高の贅沢空間』を提供したい」と抱負を述べる。
元田さんも「当社は今期から地域事業開発課を設立し、地域の活性化に積極的に取り組んでいる。異人館街は社内でも、もっと盛り上がるはずといった共通認識がある。北野エリアの活性化に貢献していきたい」と語っていた。
【堀雅視】
□異国のトビラ
所在地=兵庫県神戸市中央区山本通3丁目5―19―2階(1階=パンとエスプレッソと異人館)/営業時間=8~18時
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