日本出版インフラセンター(JPO)は出版情報登録センター(JPRO)のシステム改修に伴い3月7日、東京・千代田区の出版クラブホールで説明会を行った。雑誌仕入や搬入業務等の効率化や販売促進につなげるための機能追加や、ためし読みの拡充のほか著作権法改正に対応したJPROの活用方法などが説明された。当日はリアル、オンライン含めて1000人弱が参加した。説明会は3月中にアーカイブ配信を開始する。
冒頭、相賀昌宏代表理事(小学館取締役会長)はこれからのJPROは「情報提供が増えるほど利用価値が上がる存在。提供頂いた情報の活用事例を多くの人に説明しご理解頂き提供した甲斐があったと実感していただくことが大事だと考えている」と位置づけを説明。今後さらに他の団体との事業連携も進めていくとした。
雑誌の書誌情報登録関連では、創刊届が紙ベース・各取次会社への対面説明からJPRO内のウェブ登録で完結できるようになった。雑誌の目録アプリではバーコード読み取りで返品期限がすぐに確認できるようになった。
また、日本出版取次協会の雑誌共通フォーマット対応仕入搬入連絡ツールに「雑誌搬入連絡票の出力」画面を新たに追加。共通事項をJPROに登録すれば、各取次会社と一元的に情報が共有できるようになる。
これによって豊栖雅文雑誌マスタWGリーダー(小学館マーケティング局ゼネラルマネージャー)は「搬入事故がほとんどなくなる」と説明した。
井上直雑誌登録部部会長(ダイヤモンド社取締役)は、改めて出版社に早期登録を要望した。事前登録事項に、重版情報、拡材、付録のほか限定版や特装版の有無なども項目を追加。また、当該誌と併売したい書籍の登録もできるようになった。書店員は出版社別検索も可能になった。井上部会長は「(早期登録によって)とくに書店さんはかなり前から売場が準備・計画できる。販促情報の登録は書店さんが一番欲している情報」と強調した。
ためし読みは登録を簡潔化。JPROに登録した書影や画像のデータがそのままためし読みコンテンツとして活用できるようになった。ためし読みサービスに申し込んでいる出版社は、オプション追加料金は発生しない。また、試し読みは24年5月にグランドオープンする「ToshoTosho」(日販図書館選書センター運営)との連携もさらに深めていく。
また、JPROデータを活用した取り組みは取次会社からも早期登録を要望。トーハンの天野美生執行役員が、新プラットフォーム「enCONTACT」の事前申込が、24年1月現在で書籍扱い銘柄全体の20%強(施策申込メニューの銘柄除く)となっていると報告。申込締切日の設定、および情報解禁の早期化を求めた。
日本出版販売の永井利明マーケティング本部仕入部部長は、書店プラットフォームNOCS0の「事前申込」機能実装で、出版社向けプラットフォームBookEntryで事前に送品予定数案内や、書店別の客注と申込数をリアルタイムで確認できるようになったことなどからも、出版社に早期かつ正確な登録を求めた。
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