売上冊数同期比150%に達す
丸善丸の内本店は6月29日から、日経BPが運営する書籍に関するデジタルメディア「日経BOOKプラス」で連載している「あの会社の課題図書」をテーマにしたフェアを実施している。
フェアは約30社の企業が自社の社員に推薦図書として読ませている書籍約60タイトルを、「日経BOOKプラス」内で紹介している各書籍のページにアクセスできるQRコードを付けたPOPとともに、店舗1階の入り口近くのフェア棚で展開。同じ棚で実施したこれまでの一般的なフェアと比べて、1週間内での売り上げ冊数が、およそ1・5倍に達しているという。好調な実績を受け、同店は1カ月間のフェア期間を延長し、8月末まで予定している。
ミリオン、元棚の主役、村上春樹
フェアの銘柄は組織論、自己啓発、リーダー論など、多岐にわたるジャンルのビジネス書が中心でありながらも、中には村上春樹の『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』(新潮社)や『プラトン哲学への旅』(NHK出版)などもフェア銘柄として名を連ねるなど、通常のビジネス書フェアとは一線を画す。
企画を担当した同店の宗形康紀氏は「ビジネス書で言えば、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(日経BP)のようなミリオンセラーだけではなく、組織論やビジネスマインドなど、各棚の定番商品であり、それぞれが10万部クラスのものや長く版を重ねているロングセラーがほとんどで、その棚の顔のような存在。それらがこのフェアでは一同に会している」と力を込める。
一流企業の推薦が売上を後押し
またLINEヤフーやユーグレナなど、課題図書をあげる企業がバラエティに富んでいるのも魅力だ。宗形氏は「ジャンルも出版社も各企業もいいバランスで分散している。いつもとは違う切り口で、各書籍をお客様に訴求できることがフェアの魅力。特にこのフェアは誰もが知っている企業の“お墨付き”を付加することで、各書籍のブランドを高めてくれ、それが購入につながっている」と手応えを語る。
日本橋店、紀伊國屋新宿本店でフェア
一方、日経BP側ではPOPに掲載したQRコードから「日経BOOKプラス」への流入があるなど、サイト運営の面でも一定の効果を感じており、WEBを通じてではなく、リアルから読者を獲得できたことは大きいという。
日経BPで丸善丸の内本店の営業・販促を担当する今井勇太氏は「『日経BOOKプラス』はAmazonなどネット書店での販売は着実に伸びているが、リアル書店での波及効果はなかなか把握できない。今回、リアル書店でフェアを開催し、ウェブ上で展開する『日経BOOKプラス』の記事を、直接的にリアル書店での本の販促につなげるコラボが実現できた。オンラインとリアルを融合した『日経BOOKプラス』の新たな展開の第一歩となると感じている」と話す。
なお丸善丸の内本店に加え日本橋店でもフェアを展開中で、さらには8月から紀伊國屋書店新宿本店でも開催を予定している。
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