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鎌倉新書・清水祐孝会長 小規模出版社から終活メディアへの業態転換

 文化通信社は、「小規模出版社から終活メディアへの業態転換」と題したオンラインセミナーを先ごろ開催した。講師は鎌倉新書代表取締役会長CEOの清水祐孝氏。父親から引き継いだ小出版社を、売上高60億円の東証一部上場企業に育て上げた清水氏が、業態転換を図ったきっかけから成功へ導いた手法、ビジネスの発想について紹介した。

 1990年、証券会社勤務を経て清水氏が父親の経営する鎌倉新書に入った時、会社の業績はすでに傾いており、喫緊の課題として会社の立て直しが目の前に突き付けられた。当時の会社は、売上の3倍ぐらいの借金を抱えていたという。

 もともと仏教書の出版社として住職に会う機会が多く、葬儀を行ったりお墓を販売したりしている様子を目にするなかで、清水氏は終活というマーケットがあることに気づく。「5人に2人が65歳以上という高齢化社会を迎える日本には課題があり、そこにビジネスチャンスがある」と考えた。

 仏教の教えについての本を売っているだけでは業績は改善できないと考え、終活マーケット(産業)に目を向けた。当初は、お葬式、お墓、仏壇をテーマに出版し、終活業界向けに販促物や営業ツールを制作。セミナーやコンサルティングなどの事業も展開した。その後、シニアやその家族向けの情報提供サービスを展開し、葬儀、お墓、介護施設、相続手続きなどの情報を提供するWebメディアを運営するようになっていった。

 清水氏は、事業変革に向けて、①仏教書から関連産業向け出版社への転換、②出版社から情報ビジネスへの転換、③供養ポータルから終活インフラへ――の3つのターニングポイントがあったと説明。既存の市場に参入するのではなく、潜在的なニーズを掘り起こし、独自の事業を立ち上げることを目指すことが肝要であると話した。

 最後に、清水氏はこれまでの経験から得た経営上の教訓を共有。自身も多くの学びを受けたという本を読むことの重要性、厳しい環境が成長を促進すること、事業の定義を見直す必要性、優秀な人材の確保が鍵となることなどを挙げた。また、短期的な視点ではなく、中長期的な視野に立って事業を展開することの重要性について強調した。

 次回は、9月12日(木)15:00~16:30、日本能率協会マネジメントセンター代表取締役社長の張士洛氏による「新規事業、海外展開で業績を拡大 JMAMの成長に向けた事業戦略」をオンラインで開催する。

 申し込みはPeatix:https://peatix.com/event/4085176

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