
最新刊『かいけつゾロリ いただき!!なぞのどデカダイアモンド』の刊行を記念して、作者・原ゆたか氏のトークイベント+ワークショップ「まじめに ふまじめな おはなしの作り方」が2月24日、東京・千代田区の「オチャノバ」で開催された。定員の約6倍の応募のなかから抽選で選ばれた25組50人ほどが参加した。オンライン配信も行われ、遠方のファンも楽しめるイベントとなった。
1987年の創刊以来、小学生を中心に人気の『かいけつゾロリ』シリーズ。2022年にギネス世界記録™「同一作者によって物語とイラストが執筆された単一児童書シリーズの最多巻数」に認定され、世界を代表する児童書となっている。
トークイベントでは、子どもたちを驚かせる展開や支持を集めるキャラクター設定の制作秘話を原氏が披露。その後、実際に描き込めるイラスト用紙を使った創作ワークショップとサイン会を行った。

トークイベントでは、ストーリーの作り方、イラストの描き方を丁寧に説明。プロット用紙やイラストラフをスクリーンに映し、物語がどのように積み上がっていくのかを解説した。
ゾロリシリーズの中核に触れるようなヒストリーやシナリオメソッドに、親子はもちろん、創作に携わっている大人の参加者も熱心に耳を傾けていた。
また、今後の創作の展望の一つとして、昔のゾロリシリーズに、ゾロリを「引き立たせるため」だけに登場したような、脇役中の脇役たちにストーリーをつけて幸せにしてあげたいと語った。

続いて行われたワークショップは「みんなでゾロリを作ってみよう」をテーマに行われた。シチュエーションが描かれた3枚の紙に、参加者が思い思いのイラストを描き加えて物語の1ページを完成させた。挙手をした数人の作品をスクリーンに映しながら原氏がかんたんな講評を行い、参加者の想像力に原氏が感心する場面も見られた。
最後に「今回のトークイベントのように作り方や手の内を話し始めたのは、次に児童書を描いてくれる作家のため」と話した原氏。TikTokやYouTubeのショート動画のように「面白いところだけ」を観たい人が増えた時代に、どうやって「手前の布石が最後に効いてくる“本という文化”を残せるか」を考えていると話した。
イベント会場には、ゾロリ、イシシ、ノシシのパネルのフォトスポットやゾロリシリーズ全巻、ぬいぐるみやパペットなどが置かれ、参加者たちはイベントの前後にもゾロリの世界を堪能。また、ラフスケッチや刷りだし、試し刷りなど、滅多に見られない制作の試行錯誤の跡も展示され、原氏と作品への理解が深まるイベントとなった。

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