山梨県甲府市で長年書店を営む朗月堂は2018年の店舗リニューアルに合わせて光和コンピューターのPOSシステムを導入した。以前のシステムからポイントカード利用顧客のデータを移行することがポイントだった。
店舗リニューアルに合わせ新POS導入
同社は明治時代に東京で出版事業に従事した創業者・須藤孝平が帰郷し、1902年(明35)に朗月堂書店として創業。それ以来、市の中心部に店舗を構えていたが、消費行動が郊外に移りつつあった1991年に、本店を郊外の貢川店(1979年開店)に移し、店舗を拡張して ロードサイドで駐車スペースを備えた現本店とした。
店舗は通路で接続されたA・B・Cの3館を合わせて300坪。2018年のリニューアルによって、文芸・人文・ビジネス・専門書・文庫・新書などを展開する一番広いC館と、学参・コミックのA館のみに出入り口を設け、両館をつなぐB館(実用・児童・雑誌)は通路の形にした。
これに伴い、それまで各館にあったレジコーナーをA、C館のみにして、光和コンピューターの「K-POS」を3台(A館1台、C館2台)、検索機「PitSPOT」を3台(各館1台)導入。合わせてバックオフィスシステム「BookAnswer4」を入れた。
ポイントはハウスカードで運用
同社ではそれ以前、地域書店チェーンである今井書店グループ(島根県)が開発したPOSシステムを利用してきたが、今井書店が光和コンピューターのシステムに移行したことで、同社もシステムを刷新することになった。
システム変更で重視したのは自社で運営するポイントカードの顧客データなどのスムーズな移行だった。
以前のシステム導入でも、「ポイント倍付けなどが自由に設定できる独自管理システムにすることで集客できることが魅力でした」と話す中山大樹店長。それを引き継ぐことが可能な光和コンピューターのシステムを選択した。
他書店と課題共有して改善進める
システム移行にあたっては、以前のシステムに慣れていたこともあって、「前はできたことが新システムではできないなどもあり少し戸惑いました」と中山店長。
それまでは書店が作ったシステムということもあり、現場の使いやすさが際立っていた。特にポイントカードの会員管理では以前に比べて細かい検証ができにくくなったが、一方で検索機の精度は向上し利用者からの問合せが減るといった改善点もあった。
導入後は修正点をあげて改善を図ってきた。以前のシステムを使っていた他書店も同時期にシステム変更していたこともあり、複数の書店から出てきた要望を共有しながら修正できたことはメリットだったという。
また、棚卸し業者が項目の配列などを誤って入力しても、光和コンピューターの担当者がすぐに修正するなどメンテナンスには満足している。「サポートセンターに連絡すれば、システムエンジニアがその場で解決しようとしてくれるので大きなトラブルは発生していません」。
コロナ下で新たな客層
昨年春からの新型コロナウイルス感染症拡大では、規模的に休業要請対象には入らなかった。周辺の大型ショッピングセンターが休業したことで競合店も営業できなくなったことや、人々が東京に行くことが難しくなり県内消費が増えたこともあって売り上げは堅調に推移している。
また、コロナ前に比べて客層が変わったと中山店長は感じている。同店ではハウスカードのポイントのほか楽天ポイントにも対応しているが、以前より楽天ポイントの利用が多くなったという。
「若い人が当店でブームになった『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』を買うことができたので次も来店しようと思ってもらえているのでは」とみている。
また、こどもの本を買いに来る人も多くなり「いままでより客数も増え、普段本を読まなかった人たちが読むようになったと感じます」。中山店長はこれからもこうした顧客にロードサイドの単独店としての魅力を訴えていく考えだ。
【本紙増刊B.B.B 4月号掲載】
有限会社 朗月堂
所在地:山梨県甲府市貢川本町13番6号
電 話:055(228)7356
創 業:1902年
資本金:3000万円
代表者:須藤令子
コメント