東京都書店商業組合の新年懇親会が1月16日、東京・文京区の東京ドームホテルで開かれ、同組合関係者、出版社、取次会社、関係団体などの代表ら約200人が参加した。冒頭、あいさつに立った矢幡秀治理事長(調布、真光書店)は、1月1日に発生した石川県能登地方を震源とする「令和6年能登半島地震」で被災した地元書店の状況などを明らかにした。
矢幡氏は日本書店商業組合連合会(日書連)の会長も務めている。矢幡氏はあいさつで「日書連の話となるが、石川県書店商業組合の事務局長から連絡があり、地震によって能登地区では家屋や店舗全壊、半壊となった書店が複数あるとのことだ」と報告。
そのうえで、「現在分かっているだけでも全壊が6軒、半壊1軒、被害甚大が2軒確認されている。軽度の被害を含めると、ほぼ全組合員が自宅や店舗に被害を受けている。能登地区では店主さんが亡くなったという報告も受けている。避難所に避難されている人も多いとのことだ」と話した。
そして、石川県書店商業組合が義援金を募ることも発表。「近隣の福井、富山、新潟の書店商業組合に聞くと、皆さんが『何よりも石川が大変だ』と口をそろえる。お集まりの皆さんにはぜひ協力をお願いしたい。出版社、取次の皆さんには書籍が厳しい状態になっていると思うので、その運搬・運送、返品などができるだけスムーズにできるよう対応していただければと願っている」と呼びかけた。
「廃業せざるを得ない店舗も」
続いて、取次会社を代表してあいさつしたトーハン・川上浩明代表取締役副社長も、能登半島地震の発生直後から書店の支援を続けていることを報告した。
川上氏は「地震発生後、私たちも緊急支援チームを編成し、1月3日から現地で活動を続けている。総勢200人が入り、今も北陸に何人か行っている。落下商品の整理や在庫データ登録など、書店の復旧作業を応援。飲料水、保存食などの支援物資を提供し、一日でも早く書店さんが営業再開できるよう活動している」と語った。さらに、「1月2日の段階で70店舗が営業不能という状況だったが、現在も営業再開のめどがたっていない店舗が17軒ある。そのうち11店舗は廃業せざるを得ない状況だということだ」と明らかにした。
そのような中、年末年始の店頭売上動向についてもふれ、年末三日間は前年比98・5%まで持ち直したが、年始は90・7%まで急減したことをあらためて示し、「年末も『大ピンチずかん』など売れ行き良好書もあり書籍は好調だったが、地震で大きな影響を受けた。北陸3県を除く全国的に見ても、1日の地震と2日の羽田空港事故によって、消費のボルテージが大きく沈んでしまったということだと思う」と分析した。
最後に、高岡市の文苑堂書店・吉岡幸治社長の言葉を紹介。「再開したあとすぐにお客さまがいらっしゃっていただき、特にお子さまがたくさん来店された。児童書売場がとても活況だった。地震で怖い思いをしただろうが、心の糧も求めて子どもたちがたくさん来てくれた。本屋をやっていて本当によかったと思った」と話していたことが心に残っているとし、「出版物はいま大変ではあるが、人々の心の糧、心の癒やしにつながるものだ。私たちはもっと自信を持って、それを売っていくことを頑張っていかなければならない」と訴えた。
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