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日本書店商業組合連合会が総会 書店経営の改善に向け取り組み強化

書店会館で開かれた通常総会

 日本書店商業組合連合会の第36回通常総会が6月20日、東京・千代田区の書店会館で開かれ、2024年度の事業計画、収支予算などを承認した。冒頭、矢幡秀治会長(東京)が「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟や経済産業省の書店振興プロジェクトチームなど、さまざまなところで書店の窮状を訴えており、少しずつではあるが動きつつある。その風に乗って、私たち自身もさらに前に進まなければならない」と呼びかけた。

あいさつする矢幡会長

 昨年度の事業報告などに続き、今年度の事業計画について各委員長が説明した。流通改善委員会は、雑誌発売日励行や情報化推進に関する諸問題について出版社、販売会社、関係団体などと意見調整し、改善に取り組む。PubteX(パブテックス)をはじめとするICタグ導入の動きについても、書店にとってプラスになる形で実現するよう注視していくとした。

 政策委員会では、組織運営の見直しについて昨年度立ち上げた総務・財務ワーキングで組織の点検を行っており、財務面もからめた将来の組織のあり方を理事会、総会に提案していく。書店経営の環境改善は、経産省の書店振興プロジェクトチームに積極的に関わり、キャッシュレス決済手数料、公共・学校図書館などにおける本の入札など、粗利益率を圧迫している各種要因について、解決の道筋を研究する。

登録所属員数は2536店に減少

 組織委員会によると、24年4月1日現在、45都道府県組合の登録所属員数は2536店で、前年に比べて129店(4・8%)減少した。1986(昭和61)年の1万2953店をピークに38年連続で減少している。総会では、「組織規模はピーク時の20%弱にまで縮小するという極めて深刻な事態を迎えている」と報告された。また、書店主の高齢化が進む中、事業承継など、廃業せずに事業を継続できた好事例を収集・研究することも挙げられた。

 取引改善委員会は、書店継続のための施策として、送品・返品同日精算、支払いサイト延長などの課題に引き続き取り組む。雑誌の付録のかさ高問題については、以前の「3センチ以内」とする自主基準に戻すのではなく、別の形で書店の負担を軽減する方法を検討する。また、柴﨑繁委員長(東京)は「今年度は、子どもたちへの図書カード配布事業に率先して取り組んでほしい。しかるべき人間に声をかければ必ず取り上げてもらえる。ぜひ各組合でお願いしたい」と求めた。

 書店再生委員会は、出版再販研究、出版倫理の周知に取り組むほか、書店の収益改善にも注力する。正味改定を含め、キャッシュレス手数料の改善や報奨金制度など、書店の収益改善のための施策を提案していく。また、書店における他業種への事業拡大・システム化によるコスト削減などの提案も行う。第三商材で良いものがあれば共有する。

 図書館委員会は、全4回にわたって開催された「書店・図書館等関係者における対話の場」のまとめ文書が公開されたが、入札による値引き、装備費が本と別途計上されないなどの課題に取り組むために、まずは書店と図書館の取引実態についてアンケート調査を行う。「学校図書館図書整備等5か年計画」についても、各書店が図書標準の達成と蔵書の更新を地元の教育委員会に働きかけるよう進める。

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