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「大江健三郎文庫」 東京大学に9月発足

 東京大学大学院人文社会系研究科・文学部(以下、東大文学部)は8月24日、今年3月に亡くなったノーベル文学賞作家、大江健三郎氏の自筆原稿など1万8000枚の資料をデジタル化し、研究者向けに公開する「大江健三郎文庫」を9月1日に発足すると発表した。

 東大文学部によると、2021年1月、大江健三郎氏と大西克也研究科長(当時)のあいだで、寄託に関する契約を締結したのち、資料の整備と並行して、資料の利用について双方で検討を重ね、23年7月4日に大江健三郎氏の著作権継承者と納富信留研究科長とのあいだで寄託資料の利用に関する契約が締結された。

 寄託資料は、大江氏の自筆原稿・校正刷など1万8000枚を超える。「このような規模で現代作家のデジタルアーカイブが構築されるのは国内でも稀有なこと」という。

 東大文学部では23年9月1日、大江健三郎文庫発足記念式典を開催し、同文庫を正式にオープンする。研究者に対して、1万8000枚におよぶデジタルアーカイブ、3500点を超える資料の閲覧の場を提供するほか、HP(https://oe.l.u-tokyo.ac.jp)やオープンセミナーを通して、研究成果を社会に発信していく。

 ▽「自筆原稿デジタルアーカイブ」=生前大江氏から寄託された自筆原稿・校正刷など、約1万8000枚のデータが閲覧できるアーカイブ。『死者の奢り』(1957年)から『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』(2013年)にいたる、すべての年代の小説作品に加え、評論作品などの原稿も幅広く収録。

 ▽「関連資料コレクション」=大江氏の著書(初版本)、作品が掲載された雑誌、また研究書・関連書籍などを網羅的に所蔵する。その多くが、『大江健三郎書誌稿』(私家版)の編著者であり、大江研究者でもある森昭夫氏からの寄贈資料。森氏の寄贈図書以外にも、翻訳、外国語の研究書なども収集し、世界文学としての大江研究の基礎資料の構築にも力を注いでいる。

 ▽「書誌情報データベース」=大江氏の著作、関連文献について整備された情報を検索・閲覧する。森氏から提供してもらった『大江健三郎書誌稿』のデータを基礎とし、大江氏の著書、初出となる雑誌の掲載情報ならびに自筆原稿に関する情報を組み合わせ、多様なアクセス方法を提供する画期的なものとなっている。

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