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37年ぶりに東京・八王子で「本屋の同窓会」開催 こどもの本専門書店と出版社が意見交換

37年前と同じ場所に書店、出版社の約100人が集まった

 子どもの本の普及を目的に活動している「株式会社子どもの文化普及協会」は10月24、25日の二日間、「本屋の同窓会・本屋があたらしい時代をつくる!」を東京都八王子市の八王子大学セミナーハウスで開催し、全国にある子どもの本の専門書店や、児童書などを出す出版社ら約100人が参加した。両日とも記念講演や書店、出版社によるセッションが行われ、課題や今後の方向性などを活発に話し合われた。

 今から37年前の1986年、当時は子どもの本の専門店が全国に続々と誕生している時代だったという。そのような中、今回と同じ八王子で子どもの本の専門店と出版社が集まる会が催された。そしてこのほど、その時に参加したメンバーを中心に「同窓会」を企画。これを新たな読書運動と位置づけ、新たな同業者とともに再び集まることにした。

増田氏

「新しい本屋のスタイル目指そう」

 初日の24日には、まず絵本作家の五味太郎さんが記念講演。続く開会あいさつで、子どもの本屋「メリーゴーランド」(三重県四日市市)の増田喜昭代表取締役が登壇し、今の本屋の課題、これからなどについて持論を語った。

 増田氏は「たくさんの人たちがうちに絵本を買いに来てくれる。その最大の理由は『信頼』だ。だからどんなに売れている絵本でも、たとえ友だちが書いた絵本でも、私がその絵本を好きでなければ売らない」という自身のスタンスを披露。「本屋は『場』だ。ただ本が並んでいるのではなく、なんだか手を伸ばしたくなったり、また行きたくなったりするような場づくりが大事だ。子どもたちが喜んで来るような店を目指している」と語った。

 最後に、「この普及協会もそうだが、新しい本屋のスタイルを皆さん一緒に目指さないか。できるだけ責任仕入、責任販売をする。どんな本でも、最後に読者に手渡すのは私たち本屋だ。その気持ちを皆さんにも知ってもらいたい」と呼びかけた。

今村氏

 偕成社の今村正樹代表取締役もあいさつし、「37年前に参加したという人は(この場所に)何人かしかいないが、30代だった私は当時のことを印象深く覚えている」としたうえで、今回の同窓会開催に至る経緯などを話した。

 また、「今は出版業界全体が苦しんでいるが、一方で元気なのは小さい出版社や小さい書店。児童書の専門店である皆さんもそのカテゴリーに入るだろう。今はそういった小さな専門店がメリットを発揮できる時代なのかもしれない」との考えを示し、絵本や子どもの本などの卸しをする普及協会の役割に期待。「これからデジタルがどうなるか分からないが、今後も最初に子どもが文字に触れるのは(紙の)本ではないだろうか。それを支えに出版社として仕事をしていきたい」との思いを語った。

 続いて、本屋と出版社が互いに向かい合い、意見を出し合うセッション「本屋は文化の発信基地!」を開催。品切れ・絶版の問題など忌憚のない意見が交わされた。

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