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千代田区立千代田図書館 書店・出版社・図書館の連携を提案 約150人の関係者が集まる

熱心に講演を聞く、大勢の関係者

 千代田区立千代田図書館は7月11日、日比谷図書文化館で「“はじめの一歩”から始めませんか!!」と題し、書店・出版社・図書館などの関係者向けイベントを行い、約150人が集まった。

 同イベントは、「集まれ!! 書店・図書館・出版社」プロジェクトの一環として実施された。「集まれ!! 書店・図書館・出版社」は、千代田区立図書館が現在の図書館の問題点を見直してこれからの図書館の姿を模索するとともに、出版産業の衰退に歯止めをかけ、出版業界再興の一助となるべく始動した。

 初めに、千代田区立千代田図書館の小出元一館⾧があいさつに立ち、今講演の主たるテーマ「欠本調査」について説明した。以前から、出版社との情報交換会は行っていたが、「できれば一つの目標を持って継続的な関係を持ちたい」と思っていたとし、同プロジェクトが“はじめの一歩”として取り組み始めた「出版社による図書館の蔵書欠本調査」を紹介した。

 法学、経済学、人文科学一般に関する書籍を発行する出版社「有斐閣」の協力で行った欠本調査について、数字を示しながら解説。千代田図書館で利用可能な有斐閣の資料は1326冊あったが、そのうち244冊(18.4%)が除籍推奨、43冊(3.2%)が閉架推奨、39冊(2.9%)が買替推奨だった。

 小出館⾧は「除籍推奨の数を聞いて大変驚いた」とし、「利用に適さない資料が18.4%もあり、それが開架として棚に並んでいるというのは、かなり大きな問題だ」と話し、出版社への協力を呼びかけた。

図書館と出版業界の交流を強く求める

 提案講演として、池袋のリブロに40年勤務し、現在は出版アドバイザーとして活躍する菊池壮一氏(弊紙で連載中)が登壇し、「出版社と図書館の交流、そして書店も そのための『はじめの一歩』」をテーマに話した。

提案講演を行う菊池氏

 冒頭、菊池氏は、書店の衰退が止まらない現状に触れ、図書館と出版業界が交流することの意味を述べ、図書館での欠本調査や書籍販売について提案。講演会にも参加している書店や出版業界関係者、大学や自治体関係者らの意見を聞いて2024年以内に拡大集会の開催を目指すとした。

 特に欠本調査については図書館と出版社が直接連携することの意義と具体的な手順についても紹介し、はじめの一歩として「やりましょう!」と強くうったえた。

 次のステップとして、“やま読型”を提案し、「やまなし読書活動促進事業」について説明した。同事業は、山梨県知事をはじめとした行政のバックアップを得て、山梨県立図書館を中心に、出版社、地元書店、図書館、学校が連携する取り組み。図書館に作家を招聘して講演会を行い(経費は図書館が負担)、著書を販売してサイン会を実施したり、作家とワインを飲む交流会を行ったりする(当日の運営も書店が担当)。また、大学と連携してビブリオバトルなどを行うこともある。

 ほかにも、西東京市の「まちライブラリー@MUFG PARK」や、八戸市直営の「八戸ブックセンター」など、民営の新しい形の図書館や図書館と書店など、さまざまな連携の好事例を紹介した。

 また、菊池氏は図書館員が業界の最新情報に接することの重要性を強調し、関連する業界新聞や雑誌、ウェブサイトなどの情報源が紹介された。

 講演中には、今回のイベントに協力した関係者の名前を呼んで参加者に紹介し、会の終了後にロビーで積極的な交流を行うよう提案。終演後は菊池氏の提案通り活発な交流が繰り広げられた。

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