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【株式会社METRO PLUS】AIで万引き防止に効果 テスト運用5カ月間で犯人再来店6件補足

駅ビル内で営業しているメトロ書店長崎本店

 書店向けシステム開発・販売などを行っている株式会社METRO PLUS(本社・長崎市)は、AIを活用することで万引き犯を特定するシステムを開発。今年4月のテスト運用開始から5カ月ほどで万引き犯6件を特定し被害を防ぐという実績を上げた。今後、システムを他社へも提供していく。

 同社は長崎県を中心にメトロ書店を運営しており、かねてから万引きの被害に悩まされてきたという。

 実際に、人気のコミックスが複数本持ち去られることや、店頭からなくなった高額な医書がネットで転売されているのを見つけることもあり、常習犯による被害など無視できない状況だった。

課題だった犯人の再来店確認

 同社がJR長崎駅の駅ビル「アミュプラザ長崎本館」3階で営業している長崎本店は、1フロア、約400坪の規模で、書籍、雑誌、CD、文具を取り扱い、レジは1カ所で有人3台とセルフ6台。従業員は常時5~6人で運営している。

レジコーナーは有人レジ(左)とセルフレジを向かい合わせに配置

 同店では以前から防犯カメラ約100台を天井に設置して監視を続けてきたが、多数のカメラを設置していても、人手に余裕がない中で、従業員が常時監視を続けることは難しかった。

天井にカメラ100台を設置して監視してきた

 そのため、商品が減っているのを見つけたり、お客から通報があった場合に録画を見直して犯行を特定。犯人の顔写真を事務所やレジに置いて、スタッフが再来店を確認した場合は警察に通報して再犯時に補足するという人力での運用だった。それでも、万引き犯を補足できるのは1年に数件程度にとどまっていたという。

 「近年は店舗の効率化や一層のシステム化などで、少人数でも運用可能な店舗を目指しており、万引き対応に専念することは難しくなっています」と海老澤敬一取締役副社長。

海老澤副社長

 また、レジ袋の有料化で、お客が鞄に商品を入れていても声をかけづらくなったという変化もあった。

 そこで、1年半ほど前にAIによって犯行自体を自動的に認識するシステムを導入し、学習を続けてきた。

AIが顔と万引き行動を学習

 学習によるAI精度向上で当初は認識が難しかったマスク着用者もある程度判別できるようになった。

 あわせてスタッフが万引きの犯行手口を再現することで、犯行動作も学習させている。

 動作認識は、はじめの頃、スマートフォンをカバンに入れる行動も万引きと認識するなど、海老澤副社長も「難しい」と感じたが、AIの学習モデルを変えることで精度は向上し「これならできる」と手応えを得たという。

 その結果、1台のカメラがとらえる範囲であれば、顔とともに動作も相当程度認識できるようになったため、犯人の再来店を認識したら自動的に知らせるシステムのテスト運用を開始した。

 最初の犯行は従来通り商品の減少やお客からの通報によって確認するが、映像からその犯人が再来店したとAIが認識した場合、自動的に顔画像をスタッフにLINEで通知するとともに、お客からは見えない場所に設置したパトランプが点灯する。

AIがレジ下に設置したパトランプで従業員に知らせる

 その後の手順は警察への通報など従来と変わらないが、それでも5カ月程度のテスト運用で常習犯から学生まで6件を補足することができた。さらに、AIが映像からその犯人の過去の犯行を抽出して警察に提出することもできるようになった。

 来年には複数のカメラで追った映像でも動作認識して、初犯であっても犯行行動から自動認識できるようAIの学習を進めていく。

他の書店や小売業にも提供へ

 このシステムの導入に伴い、長崎本店では天井に設置していたカメラを棚やレジコーナーなど、万引きが多い場所で顔を認識しやすい位置に移すための再追加工事を行った。これによりカメラの数を大幅に減らすこともできる。

万引きの監視がしやすい位置にカメラを設置し、ステッカーも掲示

 「棚やセルフレジではお客様から見える位置にカメラを設置して、『AI監視カメラ作動中』と書いたステッカーでも告知を行い、抑止力としています。そうやって防犯の効果とともに、お客様の反応も確認していきます」と海老澤副社長。

 システム開発も終盤に入ったとみている海老澤副社長は、「当社は実際に書店を運営して出版物や文具を販売しているので、小売業の皆さんのニーズはわかっています。AIの精度はこれからさらに上げていきますが、100%確実なシステムを作るのは難しいと思います。それでも、いまの精度で十分成果が出ており、このことが知られれば万引き犯が来店しなくなるという防犯効果が期待できます」と、他の書店や小売業から希望があれば、運用方法の提供も含めて提供していく考えだ。


株式会社METRO PLUS

代表者:代表取締役会長 川崎孝

本 社:〒850-0862 長崎市出島町5番2号

東京オフィス:〒110-0005 東京都台東区上野3丁目16-2 天翔上野末広町ビル 403

設 立:1959年3月

資本金:5000万円

従業員:53名(他関連法人 170名)

問い合わせ:095-828-1145 海付(うみつき)

      090-1960-4202 海老澤(えびさわ)

      mcs@metrobooks.co.jp

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