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大和書房 79歳で店員デビュー、86歳で2冊目の本を上梓

笑顔で取材に応じる小畑さん

 今年6月、大和書房(東京・文京区)は、ショップスタッフとして働く小畑滋子さん(86歳)の書籍『クローゼットには似合うもの、いいもの、大好きな服だけ』を発行した。小畑さんの本を出版するのは、昨年11月に続いて2冊目。その間わずか7カ月、売れっ子の作家ではない一般の人の書籍としては、スピード刊行ともいえる。なぜ著名人ではないシニアの書籍を短期間で2冊も刊行したのか、編集担当の松岡左知子さんと著者の小畑さんに話を聞いた。

【杉江しの】

会議には通らなかったが当初から2冊目を企画

 小畑さんは、東京・南青山にあるミナ ペルホネンが運営する「call」で週2回働いている。店舗オープンに当たって、雑誌『つるとはな』に掲載された求人広告に「心が健康で100歳!大歓迎」とのメッセージがあるのを見た小畑さんが応募し、79歳で採用されたのだ。


 松岡さんは、callで小畑さんを見掛け、その存在が気になっていた。その後、たまたま「北欧暮らしの道具店」の動画配信やNHKのテレビ番組で小畑さんのインタビューを目にする機会があり、「なんだかすごくかっこいい生き方をしている」と感じ入った。


 シニアの“おしゃれ本”はいろいろ出版されていたが、「すごく派手な服かハイブランドのもので、眺める分にはいいけれど真似はしにくい」と感じていたという松岡さん。年を重ねて体型が変わっても、おしゃれな着こなしができるようになりたいと思っていた。そんなとき、ハイブランドのキッズ服も躊躇することなく着こなしている小畑さんが目に留まり、とても新鮮だったという。


 松岡さんは、おしゃれを楽しむ小畑さんの姿を見て、小畑さんの「おしゃれに関する本が出したい」と思い、会議で企画を提案。だが、「洋服をテーマにするのはニッチ」だということになり、まずは、ライフスタイルに関する本『85歳、「好きなこと」を続けるごきげん暮らし』を作ることになった。その1冊目は昨年11月に発行されて、すでに増刷されている。


 松岡さんは2冊目も作ると心に決めていた。そのため、1冊目を取材するなかで2冊目の「おしゃれにまつわる」取材もあわせて行っており、短期間で制作できたのだ。

あるがままに、自然体でおしゃれを楽しむ

ファッションのみならず、話し方も軽やかでまったく年齢を感じさせない

 兵庫の田中千代学園で学生として洋裁を学び、東京に東京田中千代服装学園が建てられるときに教師として移動したという経験を持つ小畑さんは、もともとおしゃれが好き。「おしゃれに関する話はいくらでも出てくるの」とうれしそうに話す。今作のためにおしゃれの秘訣をひねりだしたわけではなく、「ふだんのままの自分が出せた」ことが気に入っている。本では、洋服に関する知識に裏打ちされたアドバイスやコーディネートが具体的に紹介されている。


 小畑さんは、86歳の現在も元気に通勤し、ウインドーショッピングを楽しみ、おしゃれに関する造詣を自然と深めている。年を重ねて良かったのは、自分を良く見せようとせず、「あるがままに、自然体でいればいい」と思えること。無理せず、自然体で「これからもお店に立ちたい」と話す。そんな小畑さんの生き方は各方面から注目されており、先日はフィンランドのテレビ局からも取材を受けたという。今月28日には母校で講演を行う予定だ。


 話を聞いた日、水色のニットにシルバーのチョーカーを合わせた小畑さんのファッションと相まって、“さわやかな風のような人”という印象を受けた。人生100年時代、小畑さんのように生き生きとおしゃれを楽しむシニアがこれからも増えそうだ。

『クローゼットには似合うもの、いいもの、大好きな服だけ』/A5判・128㌻/1,650円(税込)
『85歳、「好きなこと」を続けるごきげん暮らし』/四六判・192㌻/ 1,540円(税込)

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