「Bunkamura ドゥマゴ文学賞」の2024年度の受賞作に、高野秀行氏が書いた『イラク水滸伝』(文藝春秋)が選ばれた。今回は作家の桐野夏生氏が選考した。
東急文化村が主催する同賞は、1990年の創設以来、毎年かわる「ひとりの選考委員」によって受賞作を決定している。
受賞作は、取材・執筆に6年、3回にわたる渡航の中で出会った数多の魅力的な人物と、そこに根付く豊かな暮らし、食、手工芸、宗教、生態……。現地に赴いたからこそ解き明かされる中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録が凝縮されたノンフィクション大作。
桐野氏は「『イラク水滸伝』は掛け値なしに面白く、かつ巨大な労作である。選考委員に任じられてからの一年間、フィクション、ノンフィクションを問わず、さまざまな本を読んだが、スケールと深さにおいて本作に敵うものは見出し得なかった。迷わず、ドゥマゴ文学賞に推す」などと高く評価している。
ノンフィクション作家の高野氏は、66年東京都生まれ。『幻獣ムベンベを追え』でデビュー。『ワセダ三畳青春記』で酒飲み書店員大賞、『謎の独立国家ソマリランド』で講談社ノンフィクション賞などを受賞。2024年『イラク水滸伝』の旅が高く評価され、山田高司氏とのコンビで植村直己冒険賞を受賞している。
コメント