ふたば書房(京都市・洞本昌哉社長)は10月3日、滋賀県草津市のJR南草津駅前にある商業施設「フェリエ南草津」2階に、書店として11店舗目(雑貨店含むと27店舗目)となる「ふたば書房南草津店」を260坪でオープンする。
同社は旗艦店として長年グループ随一の売り上げを誇っていた兵庫県尼崎市の「つかしん店」(320坪)を今春、施設側の都合で閉店していたこともあり、人口増地域での出店に期待を高めている。
草津市は、京都、大阪への交通の利便性や、子育て支援に定評があり、マンション建設も盛んで人口は現在も増加傾向の自治体。出店地周辺には、立命館大学びわこ・くさつキャンパス、パナソニックやダイキン工業の工場もあり、1日の駅利用者は4万人以上。「フェリエ南草津」は駅と歩道橋で直結しており、子育て世代をはじめ、労働者、学生と幅広い客層が期待できる。
雑貨に40坪を使い、15坪はフリースペースとして多様なイベントを催す。店長には現・山科駅前店の植平将輝氏を据える。
同施設内の図書館とコラボ視野に
洞本社長は本紙取材に「つかしん店の数字をカバーするため、できればお客も付いてくれていた兵庫近隣が理想だったが、滋賀で条件に合う物件が見つかった」と出店経緯を語り、「滋賀は6店舗を構えていた時期もあり(現在は野洲店のみ)、市場は把握できている。今は京都などに通勤している当時の従業員が新店で勤務できるなどのメリットもある」という。
施設5階には同市の図書館があり、洞本社長は「『図書館が入る施設で本は売れない』と言う人がいるが、むしろ『本好きが集まる施設』とプラスに捉えている。『既刊を借りる』と『新刊を売る』は全く別の事業。作家のトークショーやビブリオバトルなど共同で取り組めるイベントなど図書館側に積極的に提案していきたい」と話す。
「書店仲間がどんどん廃業するなか、新規出店といった動きは果たして正解なのか迷うこともある。しかし、書店は施設側にも必要なテナントとされ、地域住民も強く望んでいる。それなら身の丈に合った規模で、やれることはやってみようと決断した」とし、「リアル店にしかできない接客、店づくりで、元気がないと言われる出版界の魅力をアピールしていきたい。目標月商は2千万円」と語った。
同社は今春、大阪府堺市に光明池店も出店し、今年になって2店舗目の新規店となる。
〈ふたば書房南草津店〉
▽所在地=滋賀県草津市野路1-15-5 フェリエ南草津2F/電話=077(564)5528/営業時間10時~20時30分(予定)
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