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日本中の関心を「出版」「書店」に 今年も「BOOK MEETS NEXT」開催

記者会見に出席した(左から)大垣会長、近藤理事長、松木専務理事

 出版文化産業振興財団(JPIC)などによる「BOOK MEETS NEXT」運営委員会は9月13日、東京・新宿区のトーハン本社で記者会見を開き、今年秋の読書推進月間「BOOK MEETS NEXT 2023」(10月27日~11月23日)の開催概要を説明した。出版業界が一丸となり昨年初めて行われた読書推進キャンペーンで、今年はメインイベントとなる「KYOTO BOOK SUMMIT」(京都ブックサミット)をはじめ、東京・中部・関西でのイベント、全国各地の書店店頭イベントを連携することで、日本中の関心を出版や書店に集めることを目指す。

京都ブックサミットなど各地でイベント

 記者会見には、同運営委員会の実行委員長を務めるJPIC・近藤敏貴理事長(トーハン社長)のほか、大垣書店の大垣守弘会長、JPIC・松木修一専務理事が出席した。

 「BOOK MEETS NEXT 2023」は昨年同様、紀伊國屋書店・高井昌史会長兼社長が運営委員長を務め、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会や読書推進運動協議会、本の日実行委員会など業界一丸となって展開する。

 具体的には、秋の読書推進月間が始まる10月27日の10日前、10月17日に「BOOK MEETS NEXT 2023」の始まりを広く伝えるオープニングイベントを東京・新宿区の紀伊國屋ホールで開催する。そして、「神保町ブックフェスティバル」(10月28~29日)、「本の日」(11月1日)、「TOKYO RIGHTS MEETING(東京版権説明会)」(11月1~2日)、「悠々会+BOOK MEETS NEXT」(11月8日)と大きなイベントが続く。

 また、名古屋でも中日新聞社と連携した「ブックマルシェ」(11月3~4日)を開催。大阪での「BOOK EXPO」(11月7日)へとつなげる。今回のメインイベントとなる「京都ブックサミット」は11月8、9日に開催。同サミットの関連事業として「KANSAI RIGHTS MEETING(関西版権説明会)」(11月9日)も開く。

「未来の書店」の展示も

 大垣会長は京都ブックサミットについて、現在までに決まっていることなどを説明した。会場となるのは国立京都国際会館、京都京セラ美術館、平安神宮、京都産業会館など。11月8日のオープニングイベントには文化庁、京都府、京都市にも出席を依頼中。著者、出版社、書店、図書館関係者を含め、海外からの参加も予定している。

 また、京都ブックサミットの目玉の一つとなる「特別展示 DX化の未来について」も設ける。これからの出版・書店を変えるDX化の最新情報を展示するとともに、出版企業のセミナーなども予定。現時点で大日本印刷(DNP)、凸版印刷、トーハン、日販、PubteX(パブテックス)、メディアドゥが出展するほか、もう1社、業界外の大手企業も出展を検討しているという。「出展企業が協力しながら、未来の書店のイメージを体験できるような展示にしたい」(松木専務理事)としている。

 そのほかにも、図書館と著者・書店・出版社の未来について、関係者が対話する場も設ける。著名人や作家らによる講演会や分科会なども多数行われる。

 大垣会長は「今年3月、京都に文化庁が移転してきた。京都府民、京都市民も待ち望んでいたことだ」と話したうえで、「今回の京都ブックサミットにはぜひ日本全国から著者、書店、出版社、読者の皆さんに来ていただき、全国の書店にお客さまが足を運んでいただくきっかけづくりの場にしたい。このような大規模なイベントの開催は初めてだが、これまで『本の日』実施で培ってきた経験などをもとに、皆さんにアドバイスをいただきながら、より良いものとしたい」と意気込みを示した。

JPIC・近藤理事長あいさつ「1人でも多くの人を書店に」

 秋の読書推進月間「BOOK MEETS NEXT」(以下BMN)と同時に、JPICが事務局を務める自由民主党国会議員による「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(書店議連)の活動も連動しているところがある。今年5月に政府への第一次提言がなされて、6月に策定された「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」に初めて「書籍を含む文字・活字文化」の文言が盛り込まれた。「地域・中小企業の活性化」の項目のうち「中堅・中小企業の活力向上」と「文化芸術・スポーツの振興」のところに明確に記載されている。今年のBMNは、第一次提言で示した4つの大きなテーマに対して、出版業界からのアプローチを示す内容を盛り込んで展開する。

近藤理事長

 1つ目のテーマである「書店と図書館の連携促進」については、「KYOTO BOOK SUMMIT」(京都ブックサミット)でそれぞれの立場を尊重した対話の場を設ける。2つ目の「新たな価値創造への事業展開の支援」についても、京都ブックサミット内の「特別展示・出版のDX化の未来」と称して、これからの出版・書店を変える最新のソリューションの展示やセミナーを行う。

 3つ目の「文化向上・文化保護、読書活動推進、DX化、観光振興等の観点からの支援」にあたる諸外国の政策を参考することについては、今年4月に実施した「韓国書店業界視察」を踏まえて韓日の書店員さん同士の対話なども準備している。また、11月11日の韓国「書店の日」に開かれる現地でのセレモニーに、BMN運営委員長の紀伊國屋書店・高井昌史会長兼社長と私、日本書店商業組合連合会の矢幡秀治会長が来賓として出席する予定だ。4つ目のテーマ「不公正な競争環境等の是正」については今回のBMNでは取り上げていないが、現在、業界内の意見を調整しているところであり、近くお話しできる状況にあると思っている。

 今年のBMNの最大のテーマは「1人でも多くの人に書店や本の魅力にあらためて気がついてもらい、書店に足を運んでいただく」ことだ。一方、私たちは厳しい現状を外部から変えてもらうのを待つだけではなく、業界自らが動きを変えていくことを目指して展開していく。

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