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【小学館】2024年 新企画発表会 『日本国語大辞典』30年ぶりに改訂プロジェクト始動

あいさつをする小学館・相賀信宏社長

 小学館は7月25日、東京・千代田区の同社講堂でメディア向けの「2024年 新企画発表会」を行った。9つの企画が各局担当者や著者自身から発表され、同社のアクセスビリティへの取り組みも紹介された。

 冒頭、相賀信宏代表取締役社長があいさつに立ち、「昨年は『大ピンチずかん』1と2が大ヒットし、2冊合わせて160万部を超えた」とし、「このように伸び続けるタイトルをここで発表できることをうれしく思う」と感謝の意を述べた。また、総合出版社としての幅広いラインナップを紹介するとともに、30年ぶりの大改訂となる『日本国語大辞典 第三版』のプロジェクト発足が発表された。

 『日本国語大辞典 第三版』担当で出版局の大野美和編集長が今後8年掛けて新しい辞典が作られることを発表し、同局辞書編集室の坂倉基氏から、2032年に第三版がデジタル版で公開されること、デジタル版の特性を生かし、段階的にバージョンアップして公開されると発表された。書籍版は34年からの発売が検討されている。

 編集委員代表として日本語学者で日本語学会会長の金水敏氏があいさつに立った。自身、第一版、第二版ともに購入して今も「自宅にある」とし、『日本国語大辞典』は、「日本語を愛する全人類に重要な資源」であると話した。また、第二版は紙媒体で始まり、現在は携帯電話(スマートフォン)でもアクセスできるが、第三版はクラウド化されることにより、「辞典の性格が変わる」とその機能性についてもアピールした。

 5月に発売された河﨑秋子さんの『愚か者の石』は、出版局文芸編集室の幾野克哉さんから「直木賞受賞後第一作として注目され、三刷となっている」と紹介された。幾野さんが河﨑さんに質問する形で作品について語られ、河﨑さんは「監獄の中でも人間らしさを求める人がいたのではないかと想像を膨らませた」とし、「なんとか一冊の本にできた」と話した。

 9月20日に発売される室井滋さんの『ゆうべのヒミツ』は、ポスト・セブン局の川島雅史さんがベストセラーエッセイ『ヤットコスットコ女旅』から5年ぶりとなる新作として紹介した。室井さんは、小学館との付き合いは10年ほどになるとし、「アルバイトをしながら女優をしていて、何か家でできる仕事はないかと思ってエッセイを書き始めた」と執筆するようになった経緯を明かした。その後、「ミュージックスタート!」の掛け声とともに流れたBGMにのせて自身のエッセイを朗読した。

懇親会会場で、ポスト・セブン局の川島雅史さん(左)と室井滋さん

85歳、女優・佐久間良子 初めての著作を執筆中

 25年1月に刊行される佐久間良子さんの『ふりかえれば日日良日』(仮)は、ポスト・セブン局の橘高真也さんから1958年に女優デビューしたという佐久間さんの華麗な経歴が紹介された。佐久間さんは「12年前、日本経済新聞で『私の履歴書』を連載していたとき、本にしないかと言われたけれど断った」が、コロナ禍で「つらつら書いてきたことが貯まってきた」ので書籍化を承諾したと話し、「(今年の)暮れまでに書けるか、今は四苦八苦している(笑)」と吐露した。刊行に合わせて、神保町シアターで「佐久間良子特集」上映も予定されている。

佐久間良子さん

 美術史家・山下裕二さんの『日本美術をひらく 山下裕二 論考集成』はA5判、880㌻の大作。40年にわたり展覧会図録などに寄稿してきた論考を厳選した81本が収録されている。文化事業局の磯貝晴子さんから概要が説明され、山下さんが雪舟や伊藤若冲などの作品を自ら解説した。

 10月2日に発売される朝井リョウさんの『生殖記』は、出版局・文芸編集室の石川和男さんが3年半ぶりとなる長編になると紹介した。朝井さんは、東京新聞夕刊の連載をまとめた同作について、新聞社の人に「夕刊はお茶を飲みながら高齢者が読むことが多いので、びっくりしないような話がいい」とアドバイスされたものの、「その依頼には応えられなかった」と話し、会場の笑いを誘った。また、「初めて、一人称でも三人称でもない設定で書いた。それを思いついたときは閃光のようなものを感じた」と明かした。

朝井リョウさん

 魚豊さんの『チ。 ―地球の運動について―』は、第三コミック局の寺本真三郎さんから9月30日に公式トリビュートブック、12月23日に豪華版が発売されると発表された。また、10月からNHKでアニメ放映されることも発表された。

 藤子・F・不二雄の『T・Pぼん(タイムパトロールぼん)』新装版の第5巻と愛蔵版の第1巻などについて、第二児童学習局・ドラえもんルームの徳山さんが発表。今年は藤子・F・不二雄生誕90周年イヤーで数々の記念企画があるとし、映画監督・山崎貴さんらのインタビューが掲載された公式ファンブックについても詳細が披露された。

 第三児童学習局図鑑編集部の桂さんから「図鑑NEO」シリーズが紹介され、最後にマーケティング局の木村さんから小学館のアクセスビリティへの取り組みが発表された。

 同社1階に場所を移した懇親会では、見本誌を前に著者を囲んでにぎやかな交流が行われた。

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