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【大日本印刷】ホテルなどに書店開業支援 第一弾は「定山渓第一寶亭留 翠山亭」の“風呂屋書店”

風呂屋書店(完成イメージ)

 大日本印刷(DNP)は9月11日、宿泊施設などを営む書店業以外の事業者に対して、従来のサービスに「本」を組み込んで、利用者の体験価値を高めることができる書店開業支援サービスを開始すると発表した。書店以外の施設で本を販売することで、地域の住民らが本を買う場所を提供し、「国内の書店減少や書店のない自治体の増加による課題解決にも貢献する」としている。

 DNPによると、書店業以外の事業者は、サービスの付加価値やリピート率、滞在時間の向上の手法として「本」を活用した場づくりに価値を見出しており、書店開業のニーズが高まっているという。

 しかし、「従来の書店経営のビジネスモデルが専業を前提として設計されていることもあり、本の仕入れ条件の厳しさ、利益創出の難しさなどの課題によって、書店開業のハードルが他業種にとっては高くなっている」と指摘する。

 こうした課題の解決に向けて、同社は出版関連事業で培ったノウハウを生かし、書店業以外の事業者に対して、書店開業に向けた一連の支援サービスを提供する。

 具体的には、事業者が本を販売する際に必要な、企画・運営業務をDNPが代行・支援。書店のコンセプト設計、スペースデザイン(設計・施工)、選書、本の仕入れ(本の卸は楽天ブックスネットワークが運用する『ホワイエ』と連携)、関連物販の仕入れ、本を通じたコミュニケーション施策―などのサービスを提供する。

 また、同社は現在、グループ会社の丸善雄松堂や丸善ジュンク堂書店と連携して、本のある場づくりや図書館設立の支援をしている。自社が運営するオープンイノベーション施設「DNPプラザ」(東京・市谷)にも「外濠書店」をオープン。本との新しい出合い方を模索する実証実験を行っており、これらを通じて培った考え方やノウハウを生かす。

 今回のサービスの導入第一弾として、9月19日にオープンする「定山渓(じょうざんけい)第一寶亭留(だいいちほてる)翠山亭(すいざんてい)」(北海道札幌市)内にある、温泉と読書を楽しむ空間「風呂屋書店」の開業を支援する。

 宿泊者だけでなく、誰もが約2500冊の書籍を閲覧・購入できる。旅をテーマに、「次はどこへいこう」「温泉とサウナ」「発想が生まれる」といったコーナーを設置する。大人向けの絵本や写真集、インスピレーションが湧くような本、定山渓の地域を題材にした本を多数用意する。施設内ではフードやドリンクも販売予定。

 DNPは、2026年度までに累計5億円の売上を目指す。宿泊施設のほか、サービス付き高齢者向け住宅、飲食店、オフィス、ビジネスラウンジ、リゾートマンションなどに向けてサービスを提供する。同社が取り組む学校教育現場での読書推進活動や、動画などを活用した新しい本の楽しみ方の開発とも連動させる。

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