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新潮文芸振興会・川端康成記念会「三島由紀夫賞」など贈呈式を開催

(左から)滝口さん、永井さん、朝比奈さん

 第36回「三島由紀夫賞」と第36回「山本周五郎賞」(ともに新潮文芸振興会)、第47回「川端康成文学賞」(川端康成記念会)の贈呈式が6月23日、東京・港区のオークラ プレステージタワーで開催された。

 三島由紀夫賞には朝比奈秋さんの『植物少女』(朝日新聞出版)が、山本周五郎賞には永井紗耶子さんの『木挽町(こびきちょう)のあだ討ち』(新潮社)が、川端康成文学賞には滝口悠生さんの『反対方向行き』(交通新聞社)がそれぞれ選ばれた。

 冒頭、新潮文芸振興会の佐藤隆信理事長(新潮社社長)があいさつに立ち、「今回は、大勢の方がお見えになった」と3年ぶりに贈呈式と懇親会が開催できたことを喜び、「三島由紀夫賞、山本周五郎賞らしい作品が選ばれた」と受賞の二人と選考委員に感謝の意を述べた。

 三島由紀夫賞の選考委員・川上未映子さんは、「この数年、朝比奈さんの作品を3、4作読む機会があり、この方はいつか物書きになるだろうという確信があった」とし、今回受賞したことを「一読者として光栄に思う」と感慨深げに語った。

 朝比奈さんは、「なんの因果か小説を書くことになった」と言い、医学部1年生のときに植物状態の患者を介助したことが小説を書く原点となり、書くことによって自身の中で決着がついたと話した。

 山本周五郎賞の選考委員・今野敏さんは、接戦で読み応えのある作品が多かったとしながら、永井さんの作品の「構成力に舌を巻いた」と絶賛した。

 永井さんは、長年ライターとしてインタビューをしてきたことが蓄積されて作品ができたとし、「小説にも(映画のように)スタッフロールがあるのなら、たくさんの皆さんにお礼を言いたい」と感謝の気持ちを語った。

 川端康成文学賞を受賞した滝口さんは、締切が迫った苦肉の策として「10年前の小説の後日談を書いた」と話し、受賞の知らせが来た日に、担当編集者から会社を辞めるという連絡があり、「今日は送別会も兼ねて楽しみたい」と話して会場の笑いを誘った。

 川端康成記念会の川端あかり理事長は、祖父・川端康成が「第19回囲碁殿堂入り」に選出されたことを報告し、「本人が存命なら辞退したかもしれない」としつつ、「選んでいただいたことを光栄に思う」と話した。また、川端康成記念会の事業の根幹になる第47回の賞への祝辞を述べた。

 第二部の懇親会では、立食形式の会場で選考委員の作家陣や関係者が久しぶりの懇談を楽しんだ。

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