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朝日新聞社 手塚治虫文化賞贈呈式 大賞はドラマ化へ

記念撮影に臨む(左から)入江喜和さん、楳図かずおさん、やまじえびねさん=朝日新聞社提供

 朝日新聞社が主催する第27回手塚治虫文化賞の贈呈式が6月8日、東京・築地の浜離宮朝日ホールで開かれた。マンガ大賞の『ゆりあ先生の赤い糸』(講談社)の入江喜和さん(57)、新生賞の『断腸亭にちじょう』(小学館)のガンプさん(43)、短編賞の『女の子がいる場所は』(KADOKAWA)のやまじえびねさん(58)、特別賞の楳図かずおさん(86)がそれぞれ表彰された。

 マンガ文化の発展、向上に大きな役割を果たした手塚治虫氏の業績を記念する賞で、正賞は鉄腕アトムのブロンズ像。副賞として大賞200万円、その他100万円が贈られた。

 マンガ大賞に輝いた『ゆりあ先生の赤い糸』は、LGBTQ、介護、DV、ガン、不倫、コロナ禍といった社会的関心事をふんだんに盛り込んだ意欲作だ。入江さんは受賞あいさつで、執筆中に90代の母親の認知症が悪化したことを明かし、「どうやってやってったらいいんだろうなって感じだったので、逆にめっちゃ元気になるようなマンガにしてやるっていう気合が入った」と振り返った。

 作品は今秋、テレビ朝日系でドラマ化されることも決まった。主人公は菅野美穂さんが演じる。入江さんは「見た方が元気になるドラマになるといいなと思っております」と語った。

記念トークイベントで「グワシ」ポーズを決める進行役の黒田健朗・朝日新聞文化部記者、楳図さん、矢部太郎さん(左から)=朝日新聞社提供

 特別賞の楳図さんは高校3年生でデビューし、『漂流教室』『まことちゃん』など多数の傑作を世に送った。昨年、27年ぶりの新作となる101点の連作絵画を発表。話題を集めた。壇上で楳図さんは、手塚作品に親しんだ少年時代を振り返った。その上で、グラスワインで乾杯したいと語り、「手塚先生、ぜひ一緒にやっていただきたい」。グラスを持つようなしぐさで「乾杯」と発声するなどユーモアたっぷりに喜びを表現した。

 会場には、秋本治氏や里中満智子氏ら選考委員、出版社の幹部や担当編集者、抽選で当選した読者ら約400人が参加。芸人・漫画家の矢部太郎選考委員と楳図さんが語り合う記念トークイベントもあった。

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