奈良県書店商業組合(林田芳幸理事長・啓林堂書店)の第39回通常総会が8月3日、奈良県橿原市の橿原オークホテルで開かれ、2020年から図書館とのコラボレーションで始めたスタンプラリーに2000人以上の県民らが参加するなど、組合事業の認知度が高まっていることなどが報告された。
総会には委任状含む21人の組合員が出席(現組合員数26)。冒頭、林田理事長は「書店の経営環境が悪化しているが、私たちは奈良に住む子どもたち、本を必要とする人に本を手渡す使命がある。書店は地域をつくる重要な場所。奈良という歴史ある地で、各店それぞれのお客が付いてくれている。ナショナルチェーンには真似できない伝統や立地を生かした店頭展開、これまで取り組まなかった事に挑戦して生き残っていこう」とあいさつした。
前年度、年末年始に実施した「奈良県の図書館で本屋さんでスタンプラリー」は、参加者は2100人を超え、春の「サンジョルディの日」記念イベントも図書カード抽選に約1500人の応募があり、イベントが定着してきたことが報告された。
同組合は2011年から組合加盟書店を巡るスタンプラリーを実施していたが、20年から図書館にも参加を呼びかけた。4つのスタンプ枠を設けた用紙を手に図書館や書店に訪れ、異なるスタンプ(最低1書店必要)の数に応じて抽選で図書カードが当たる。
今期の事業計画でも引き続きスタンプラリーをはじめとする「組合主導の独自施策の継続と発展」、「公立図書館、学校図書室への納入拡大」などに注力していくことを確認した。
さらに林田理事長は「図書納入におけるブックコート作業の委託先として、障がい者雇用を拡大させるよう行政に働きかける」、「奈良県教職員互助組合の図書購入補助券が大手書店での利用が増えている。組合書店で使えるという点を外商などでもアピールして利用促進を図らなければならない」と強調した。
廃業理由の調査を
「書店がない市区町村の割合」が奈良県は全国3番目に高いという結果を受けて、参加書店から「今後の対策のためにも原因を知りたい。『後継者がいないから廃業する』のか、『商売が成り立たないから継がせられない』かを知りたい。当組合がアンケートを取って、他県にも調査を促してはどうか」と意見が出され、林田理事長は、広報委員と検討して進めたいとした。
出版社、販売会社らも参加しての懇親会で、トーハン東海近畿支社・金子俊之副支社長が、JPIC(近藤敏貴理事長)らの働きかけによって「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」が、公正取引委員会、文部科学省、経済産業省など各省庁に示した答申内容を説明し、「こういった事に積極的に取り組み、これ以上、町の本屋を減らさない活動を引き続きやっていく」と力を込めた。
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