コロナ禍はダ・ヴィンチWebの躍進に大きな役割を果たしたが、新しいサービスを生み出すきっかけにもなった。それが、2022年3月にKADOKAWAがサービス提供を開始した全無料のプレスリリース配信サービス「プレスウォーカー」だ。現在登録している約9000社のリリースを、約600のメディアに配信している。
プレスリリースは宝の山
斎藤良編集長は、流通業界を経てKADOKAWAに入社した後はウォーカーやレタスクラブなどのメディアの広告営業を担当。だがコロナ禍によって、従来の訪問型の営業が行えない状況に。 「クライアントに会うことができず、クライアントの情報が把握できなくなってしまった経験から、クライアントと繋がるためにメディアが何ができるか考えた時に、それは自社の商品やサービスを編集記事に取り上げられることではないか。ならば我々のもとで記事化にたどり着けるようなシステムやサービスを作ったらどうだろうか」と考えたそうだ。
編集者のもとへ毎日のように大量に送られ、ほとんど日の目を見ないプレスリリース。だが斎藤編集長は、小さい会社の良質な商品や新しいけれどまだ盛り上がっていないサービスなどが見つかる「宝の山」であり、それを拾い上げて記事化することが編集者としての作業だと話す。
メディア企業としてできることを追求
サービスを考えるうえで有効だったのは、KADOKAWAが複数の媒体を抱えるメディア企業であること。内容に適したメディアで記事化を図ることができるからだ。「例えば観光・レジャーなら『ウォーカープラス』、エンタメなら『ダ・ヴィンチWeb』や『WEBザテレビジョン』、ホームや美容・健康は『レタスクラブWEB』、シニア向けなら『毎日が発見ネット』、ビジネス・企業情報は『OneNews』。ファッションやスポーツについては今後他社の媒体との連携も検討していきたい」。
大量のリリースの中に埋もれず、編集者の目を引くために「メールの表題でいかに興味を持たせるか。『主婦向け』などターゲット層をはっきりさせ、『日本初』『クラウドファンディング400%達成』といったパワーワードで引きつけてほしい。商品画像も1点だけではなく、点数が多ければそれだけ記事化もしやすくなる」とする斎藤編集長。こうした、メディアを運営している編集部があるからこそ伝えられる、プレスリリースのクオリティーを上げるようなサポートも、今後サービスの一環としていきたいという。
新サービス「プレスウォーカーコネクト」
さらに、マーケティングツールとなる新サービス「プレスウォーカーコネクト」も開始。プレスウォーカーコネクト上にメディア資料を掲載しておくと、広告出稿や提供サービスの利用を考えるマーケティング担当者が資料をダウンロードした時に、その担当者情報が資料掲載社に届き、インサイドセールスへの活用が可能に。プレスウォーカー登録の約9000社にアピールできる。「『プレスウォーカーコネクト』でメディアやサービス提供社と、クライアントをつなぎ、媒体社の枠を超えてPR会社に近い動き方をすることで良いシナジーを生み出せるのでは」と、斎藤編集長は今後の展開に期待している。
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