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【ジーオーティー】新レーベル「官能倶楽部『悦』」を設立

文芸的要素の強い作品を目指す

 株式会社ジーオーティーは、既存の官能小説が主に文庫を中心に市場形成されてきた背景を受け、「新官能」をコンセプトに掲げる書籍レーベル「官能倶楽部『悦』」を新設した。3月11日取次搬入の草凪優氏『リ・バース』、沢里裕二氏『情事の報酬』の刊行を皮切りに、年間通じて12点の新刊を刊行する予定で、官能小説でありながら、文芸的要素の強い作品を目指す。

 『リ・バース』はバイオレンス要素の強いノワール作品である一方、『情事の報酬』はレコード会社と広告代理店の裏側を描いた企業小説の側面もあり、「官能×〇〇」を意識した作品が同レーベルの特徴だ。

 また発行形態・流通については、四六判の書籍にこだわる。レーベル立ち上げに関わった、編集プロダクション「大航海」の松村由貴代表は、「ボーイズ・ラブやティーンズ・ラブが文庫から文芸書に市場を拡大した。官能小説も同じモデルケースで新たな市場を開拓できるはず」と意気込みを語る。

「時代を映す鏡」としての官能小説

 また昨今の官能小説市場について、松村代表は「官能小説は古くは井原西鶴、永井荷風、谷崎潤一郎など、多くの文豪も手掛けてきた。一方で1980 年以降、消耗型の官能小説が大量生産され、ポルノ小説として市場が拡大したが、読者の高齢化、昨今のアダルトコンテンツ無料化などにより、衰退の一途をたどっている」と語る。

 続けて「かつては団鬼六らによる『暗黒文学』をはじめ、『企業小説』や『ハードバイオレンス』など、情愛シーンだけではない、時代の世情、不安、不満をとらえた作品が多数あった。これらの作品は、『同時代』性を取り込んでおり、いわば時代を映す鏡と言える。今回、改めて官能小説の原点を見直し、提起することで、ポルノ小説とは一線を画す、今の時代に合った官能小説を世に送り出したい」と同レーベル立ち上げの意図を話す。

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