日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)は5月14日、リアル書店でしか体験できない手帳選びの売り場を、書店と同社の社員がともに考えてつくる企画「~お店に来て・見て・触って・選びたくなる~NOLTY売り方チャレンジ」の優秀事例を共有する授賞式を、東京都内のホテルで開催した。初めての試みとなる今回は大垣書店、紀伊國屋書店、未来屋書店の3チェーンを対象に実施し、エントリー店舗89事例の中から、最優秀事例店舗に大垣書店京都本店(NOLTY企画展の開催)が選ばれた。2025年版商品が対象となる次回は、対象チェーンを拡げて開催することも検討している。
書店数の減少が社会問題となる中、手帳やダイアリーは商品種類が多いこともあり、現在でも店舗で現物を確認し、お気に入りの1冊を選んで購入する人が多い。特に年末や春の数カ月間は、高い集客力が期待される商品となっている。
そのため、同社では「店舗様と当社営業担当とで協力して知恵を出し合い、リアル書店でしか体験できない新しい手帳売り場を構築することで、書店の活性化と手帳の販売増につなげていこう」という取り組みとして、2024年版1月始まり・4月始まりの商品で今回の企画をスタートした。
まずは試験的な実施としたため、最初は対象を3チェーンとした。両社の担当社員らが相談しながら「来店者の視点に立った売り場」を構築。3チェーンからは全国の89店舗の事例がエントリーした。その中から、各チェーン本部が選出した「模範」となる3事例と、同社内の投票で選出した優秀店舗6事例の関係者らを招き、授賞式を開催。その内容を各チェーンで共有しつつ、優秀店舗6事例の中から最優秀店舗1事例を投票で選出した。
授賞式の冒頭、張士洛社長があいさつし、「当社は本屋大賞のスポンサーをしており、その発表会でも申し上げたが、コロナ禍を乗り越えた今、あらためてリアル書店の意味が問われている。私たちの中核の商品である手帳もまさにリアル、アナログの代表格。その手帳が書店業界を支える重要な一部だと認識している。今回のような売り方チャレンジも、リアルだからできることだ」と強調。
そのうえで、「私たちはリアル書店を守っている書店員さんの人材育成のお手伝いもしている。今回の売り方チャレンジがより良い売り場づくり、より良い顧客との関係構築が生まれるきっかけになればと願っている。今回受賞された好事例もどんどん発信していき、リアル書店の未来を一緒に築いていきたい」と呼びかけた。
続いて、各チェーン本部が選んだ「チェーン賞」を発表。大垣書店の「大垣書店イオンモール堺鉄砲町店」、紀伊國屋書店の「紀伊國屋書店ゆめタウン徳島店」、未来屋書店の「未来屋書店長久手店」がそれぞれ選ばれ、各店舗の店長らがチャレンジした企画の内容を紹介したり、企画を展開したことなどが功を奏し、売上冊数も対前年比プラスに推移したことなどを報告した。
また、各チェーンからそれぞれ2店舗が優秀店舗に選ばれた。大垣書店は「大垣書店マルヤマクラス店」「大垣書店京都本店」、紀伊國屋書店は「紀伊國屋書店イトーヨーカドー木場店」「紀伊國屋書店天王寺ミオ店」、未来屋書店が「未来屋書店成田店」「未来屋書店名古屋茶屋店」が受賞した。
手帳・ダイアリーと文具商品とのコラボ展開や、学生向け手帳フェアの実施、スマホとの併用におすすめの手帳フェアの実施など、売り場の活性化や両社の売上に貢献した好事例が各店から発表されると、来シーズンの売り場構築のレベルアップを図るため、他店舗の事例を参考にしようとメモを取る書店員の姿なども見られた。
「他店舗の優秀事例は参考になる」
最後に、参加者らの投票で「大垣書店京都本店」が最優秀店舗に選ばれた。同店はイベントスペースで「NOLTY企画展」(24年1月2~4日)を開催した。来店者に「手帳選び・使うことの楽しさ」といった新しい発見をしてもらうことをコンセプトに、NOLTY手帳の記入例パネル49枚を展示したり、時間管理やノート術、〝書くこと〟に関する書籍を一緒に販売し、増売につなげた。会場から3日間連続で、手帳の使い方を紹介するインスタライブも実施した。
最優秀賞の発表後、張社長から大垣書店・中澤めぐみ京都本店店長にクリスタルトロフィーが贈られた。中澤店長は「第1回の最優秀店舗に選んでいただき、とても光栄。店舗としてこういった賞をいただく機会もないので、本当にうれしく思う。今回の授賞式で各店の事例を拝見し、勉強になるとあらためて感じた。25年版商品が店頭に届くころには、またJMAMの営業担当さんのお力も借りながら、他店の事例も積極的に参考にして売り場をつくって、たくさん売っていきたい」と意気込みを語った。
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