日本出版販売株式会社(日販)は書店での文具販売に力を入れているが、取引書店での文具売上が13カ月連続前年越えするなど成果が出ている。6月21日にはグループ会社の中三エス・ティ株式会社と、東京・台東区の東京都立産業貿易センター台東館で日販×中三エス・ティ共同商談会「Discover New Items 2024 Summer」を開催。文具・雑貨メーカーなど初出展5社を含め92社が出展する。
「文具は書店と親和性がある」と日販文具雑貨事業担当取締役で株式会社学研ステイフル代表取締役社長を務める野口瑞穂氏は述べる。
同社の取引書店で文具常設店舗数は350軒、これら店舗での文具販売が13カ月連続で前年越えを記録している。
文具を扱う書店では、筆記具の構成比が30~40%と他業態よりも高く、読書に関連するアイテムの売上が好調。また、他業態では少ない筆箱・コンパスなどの学童ジャンルを棚で揃える書店が多く、学習参考書などの購入客を取り込めている。
また、多品種少量の単品管理に慣れている点や、客注による取り寄せに対応するといった書店の特性も他業態にはない強みで、「文具はすでに書店の1ジャンルになっている」(野口取締役)とみている。
文具メーカーは書店に対して、買切りの習慣がないことや文具を管理できる人材が少ないことに懸念を持つ一方で、文具専門店が減少する中での新しいチャネル、そして安売りをしないルートとして期待しているという。
単品管理・自動発注などサポート
日販は2018年に文具卸の中三エス・ティに資本参加し、22年には日販がメーカーとの口座を持つ一次卸となった。これにより、「メーカーとの距離が縮まったことで、新商品などの情報が早くなり、商品確保が容易になった。また、書店での展開をメーカーに伝えることができるようにもなった」と文具雑貨商品本部仕入課・吉川英子課長。
文具の粗利益率は40%程度と出版物に比べて高いが、平均単価は250円と低い。日販では文具パッケージ「NEO Sta!(ネオスタ)」を提供し、定番商品管理の手間を省くと同時に、季節商品や新商品によって売場の鮮度を保つことで、合わせ買いによる客単価増をサポートする。
「NEO Sta!」はJANコード商材管理システム「蔵人(くろうど)」による単品管理と定番商品の自動発注に対応。合わせて、月1回メール配信する「NS-Info(Nippan Stationery Information)」で注目商品や季節商品、年間計画表や当月の販売計画などを伝える。
「NEO Sta!」導入店は300軒。「蔵人」による自動発注銘柄は、王子流通センターで在庫する1万8000SKUの在庫で、30坪の文具売場の定番在庫をカバーできる規模だという。
野口取締役は「文具の売場を作れば売上と粗利益をとることができる書店はまだ多い」とさらに拡大する考えだ。
商談会は出展社・来場者とも増加
日販×中三エス・ティ共同商談会は毎年1月、6月、9月に開催する。出展するメーカーは1月に新学期・新社会人向け、6月はカレンダー・日記手帳など、9月は年末季節商品(クリスマス)などを中心に受注する。
出展社は22年6月が70社、23年6月が80社と増加を続けている。来場者も22年6月は書店50名、文具店180名だったのが23年6月には書店160名、文具店200名と書店の増加が目立つ。
今年6月の初出展は株式会社アートプリントジャパン、株式会社ドリームズ、株式会社パイロットコーポレーション、星の道商事株式会社、株式会社リエットの5社。開催時間は9時から16時。8時30分受付開始、8時40分から野口取締役と出展メーカー代表のぺんてる株式会社・和田優代表取締役社長があいさつを行う。
問い合わせ先は日販文具雑貨商品本部・渡邊氏、メールwatanabe_j2@nippan.co.jpまで。
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