表面的な言い方ではなく、コミュニケーションの本質を解説
言葉を尽くしているのに、なぜうまく伝わらないの? 日頃から多くの人が経験していることだろう。本書では「話したはずなのに伝わっていない」というときに、いったい何が起こっているのかを認知科学の観点から読み解き、その上で賢い伝え方を提案する。話し方や伝え方をテーマとした本は多数あるものの、それらを参考にしても、悩みを解消することはなかなか難しい。
私たちはつい、「伝わって当たり前」という態度を取りがちだが、実は、他人に対して誤解なく正確に伝わることはすごいこと。「コミュニケーションは丁寧に取らなければいけない」ということを思い出させてくれる点で、多くのコミュニケーションの書籍とは一線を画すといえる。
読者層としてはビジネスパーソンが中心となろうが、子どもたちに教科の内容をしっかり伝えたい先生方にも参考になりそうだ。
著者の今井むつみ氏は『言語の本質』(中公新書)で新書大賞2024を受賞。本書は受賞後の最新刊で、各種メディアで注目度が高まっている。
初刷1万部で発刊し、予想を超える初動でその後も勢いを落とさず、現在6刷5万5000部を数える。さらに、同社では今後も日本経済新聞朝刊や、JR東日本ドア横ポスター広告(6月30日まで)などで売り伸ばしを計画しているという。
新書大賞2024『言語の本質』の今井むつみ先生
初のビジネス書!
伝えたいことがうまく伝わらなかったという経験は、誰もが一度はあると思います。依頼した通りにできあがらなかった。厳守と伝えた締め切りが守られなかった。一生懸命説明しているのに、部下や子どもの理解度が上がらない……。
本書では、こんなときにまず見直すべきは「言い方」ではなく「心の読み方」だと指摘します。天動説を信じる人に「動いているのは地球なのだ」ということを、手を変え品を変え伝えても理解を得ることが困難であるように、言い方を工夫したり何度も繰り返し説明しても、「伝わらない」は解決しません。
人は、何をどう聞き逃し、都合よく解釈し、誤解し、忘れるのか。これを知ることが、いいコミュニケーションの出発点です。ぜひ本書で賢い伝え方を身につけていってください。
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