文化通信社は9月12日、「新規事業、海外展開で業績を拡大 JMAMの成長に向けた事業戦略」と題したオンラインセミナーを開催。日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)代表取締役社長・張士洛氏を迎え、同社の沿革や事業への取り組みを紹介した。
JMAMは1991年、産業界における経営効率化の促進を目的として設立された社団法人日本能率協会から分離独立する形で創立。手帳、研修、通信教育、出版などの事業を拡大・進化させながら新たな顧客ニーズに対応してきたと説明した。
なかでも手帳事業では「能率手帳」を「NOLTY」にブランド変更、企業法人向け手帳だけでなく中高生用手帳「NOLTYスコラ」を制作し、学校に向けて販売を開始。「今では約1000校30万人が「NOLTYスコラ」ユーザーという非常に大きな市場へと成長している」と述べた。張氏が社長に就任してからはJMAM内の独立した事業体を統合再編し、事業のシナジーを創出。「2031年6月までには、現在160億円ある売上を約2倍にするという大きな目標を打ち立てている」と明かした。
続けて出版事業について言及。「NOLTYスコラ」による顧客層の広がりを受け、18年に児童教育書へ新規参入したことを説明。児童の非認知能力向上をテーマにした書籍を展開し、『12歳までに知っておきたい図鑑シリーズ』は累計35万部を売り上げる大ヒットとなっているとした。
また、16年より海外への版権輸出に本格参入。中国・韓国・台湾など東アジア圏を中心に各国語版を刊行し、ドイツのフランクフルトをはじめとした各国ブックフェアに出展、商談を展開していることを明言。さらに22年には世界最大の出版社の一つである米国WILEYと著作権販売契約を締結。既刊のビジネス書「マンガでやさしくわかる」シリーズの英語版6点が販売され、その後も世界各国11カ国語で販売されている。
また、手帳製本の専門会社であった新寿堂を買収。さまざまな出版社と提携して書籍製本の事業を進め、手帳製本で培った開きやすく見やすい、レベルの高い製本技術を書籍にも活用していると解説した。
手帳分野の海外進出も好調とのことで、22年より中国で越境ECの旗艦店を開設。中国では文具店でのリアル販売も行っており、現地TSUTAYAでも販売予定だ。今年からは欧米でも展開を予定していると明かした。
最後に、既刊書籍を学びのコンテンツへ活用することを提案。VTuberによる既刊ビジネス書のeラーニング化、通信教育教材の書籍化など、既存コンテンツをマルチコンテンツ化した同社の取り組みを紹介した。
張氏は「弊社の出版事業の売上は10億円程度であり、ファーストコンテンツを作るのには限界がある。そこで、優良な既刊書籍をお持ちの出版社と協力すれば莫大なコンテンツ量となり、さらにいろいろなことができる」と提言。「出版・書店業界はイノベーションの時代待ったなしといえる。共創・協業モデルを考えていくことが大切だ」と締めくくった。
〈今後の予定〉
□9月26日(木)15:30〜16:40、カルチュア・エクスペリエンス代表取締役社長の鎌浦慎一郎氏による体験型「コミュニティ型書店」作りとこれからの仕入モデル―カルチュア・エクスペリエンスの試みをオンライン/リアル会場で開催する。申し込みはPeatix:https://peatix.com/event/4100845
※オンラインのみ
▽販売期限: 2024/09/26 10:00:00 ※コンビニ / ATM でのお支払いは、2024/09/25 で締め切られます。
□10月10日(木)15:00〜16:30、ブックセラーズ&カンパニー代表取締役社長の宮城剛高氏による『直接取引で書店の未来を拓く挑戦 ―ブックセラーズ&カンパニーの現状と見通し― 』をオンラインで開催する。申し込みはPeatix:https://peatix.com/event/4084237
コメント