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株式会社世界文化ホールディングス 「出版ERP」をクラウド化 在宅利用も可能に

 株式会社世界文化ホールディングスは、販売管理や資材原価管理などに光和コンピューターの「出版ERP」を利用しているが、販売管理システムのバージョンアップでクラウド化し、コロナ禍で在宅利用も可能にした。

左から高橋副本部長、小杉取締役(世界文化ブックス)、小俣部長(世界文化ホールディングス)

子ども向け「マンガ新聞」からスタート

 同社は終戦直後の1946年に創業した子供マンガ新聞社を出発点とし、1954年には世界文化社となり、さまざまな全集を刊行、1958年には同社を代表する『家庭画報』が創刊された。当時は訪問販売での直販が主流であったが、その後、同誌を扱いたいという書店からの要望に応えるかたちで、市販ルートでの雑誌、書籍販売が拡大していった。

 2020年、持株会社制へ移行および分社化した同社は、現在、株式会社世界文化ホールディングスのもと、『家庭画報』を核とした出版事業から、イベント、カルチャースクール、通販事業、旅行業へとブランド展開をする株式会社世界文化社、実用書籍・ムック、児童書、コミックの刊行と、グループ内の出版販売、営業を担う株式会社世界文化ブックス、『Begin』ブランドをはじめとした出版事業から、WEBメディア、通販事業を展開する株式会社Begin、保育・介護関連出版、関連事業を手掛ける株式会社世界文化ワンダーグループの5社で構成される。

 グループで発行する主な雑誌は『家庭画報』のほか、『Begin』『LaLa Begin』『時計Begin』『MEN‘S EX』『きものサロン』『PriPri』『PriPriパレット』『レクリエ』『へるぱる』など。いまも雑誌に関連する売り上げは大きいが、「近年は書籍の比重も大きくなっています」と世界文化ブックス取締役セールスマーケティング本部本部長の小杉繁則氏は説明する。

 書籍、ムックの新刊点数は年間200点、稼働点数は1500点余になる。関連雑誌からの単行本化をはじめとして、料理や茶道、着物、健康などの実用書がこれまでは多かったが、グループ各社の積極的な刊行計画のもと、児童書の刊行が年々、増加傾向にある。

 また最近では3月に開かれた第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝戦5日後に刊行した『WBC2023メモリアルフォトブック』が22万部に達するヒットになったが、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップ以降、世界的なスポーツイベントに際し、関連ムックの刊行を計画的に継続してきた。同社はかつて1964年の東京オリンピック閉幕直後に『東京オリンピックブック』を刊行し、40万部を完売させた経験を持っており、世界文化ブックスセールスマーケティング本部副本部長の高橋友彦氏は「こうした伝統が今回のヒットにもつながったのでは」と話す。

WBC閉幕の5日後に発売し22万部に達したメモリアルフォトブック
1964年の東京オリンピック直後に刊行し40万部を販売した記録集

AWSでクラウド化

 システムはかつてオフコンで運用していたが、PCサーバーに移行するため、2003年に「X-Payment」よる支払システムを構築したのを手始めに、2007年には販売管理なども光和コンピューターのPCサーバーシステム「出版ERP」を導入。さらに、導入して10年以上を経た2020年のバージョンアップで、自社サーバーからAWS(Amazon Web Services)に移行しクラウド化。「遠隔で常時監視してもらえますし、トラブルのときにわざわざ担当者に来てもらう必要がないので対応のタイムラグがなくなりました」と世界文化ホールディングス財務部ICT室担当部長の小俣善嗣氏はメリットを述べる。

 ただ、この段階ではセキュリティーを確保するため社内ネットワークからの利用に限っていた。一方で、グループ全体で女性社員が半数を超え、多様な働き方の実現など働き方改革が求められていたことから、コロナ禍前から社員が社内メールを確認できるiPhoneを支給するなどリモートワークの準備を進めており、販売管理システムもNTTコミュニケーションズのリモートアクセスシステムを導入するなどして、コロナ禍での在宅利用を可能にした。

 いま、システムの優先課題はインボイス制度への対応と資材原価管理システムのリプレイスだ。インボイス制度については当面、クラウド型の経費精算サービスを利用して対応する考えだ。

 一方の資材原価管理については、出版業界の特殊な計算があるため、どのようにリプレイスするか、サーバーのクラウド移行など含め、検討・情報収集を行っている。


株式会社世界文化ホールディングス
代表者:鈴木美奈子
所在地:〒102-0073
東京都千代田区九段北4-2-29

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