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出版梓会 懇親の集いに176名参集 江草理事長「読者視点」の重要性強調

4年ぶり開催した出版梓会のビアパーティーに176名が集まった

 一般社団法人出版梓会は7月21日、東京・千代田区の如水会館で「業界・会員社懇親の集い」を開催し、取次・書店など招待社31法人・団体65名、会員社55社111名の計176名が参加。この会は通称「ビアパーティー」として、毎年夏に開かれてきたが、コロナ禍による中止で4年ぶりの開催となった。

 冒頭あいさつに立った江草貞治理事長(有斐閣)は研修会でJR中央線沿線にある独立系書店店主の話を聞いたことに触れ、「街に愛され、著者に愛される書店が苦しんでいるという赤裸々な話に驚かされた。もし、この一番シンプルで原初的な書店が立ちいかないとすれば、出版産業全体の敗北だろう」と述べた。

江草理事長

 そのうえで、「今年後半、業界3者で決断していくことがたくさんある。それぞれが血を流すような厳しい決断もせざるを得ないと考えている。しかし、我々の生き残りをかけた施策・提案が読者に支持されるかどうか、読者の本を読む環境が豊かであるように描けているかどうか、読者を置き去りにしていないか、という視点が必ず必要になる」と強調した。

 続いて取次を代表してあいさつに立ったトーハン・川上浩明副社長は、この4年間の店頭売り上げの厳しい推移について「2019 年度は 99.6%、2020 年度は巣籠で103.2%、2021 年度は92.1%、2022 年度は93.6%、今年度第 1 四半期は93.7%と底割れしてる」と報告。

川上副社長

 そんな中で書店の転廃業も増加し、2019 年度からの4 年間で同社取引書店の新規出店は 283 軒、2万9800 坪に対して、閉店は1123軒、 5万4600坪で、差し引き 840軒 2万4800坪が市場から消えたと述べ、「あと数年で紙の出版市場は 1兆円も割り込むと危惧している」と危機感を示した。そのうえで、秋に予定されている業界横断の「BOOK MEETS NEXT」への協力を訴えた。

 乾杯の発声を行った日本書籍出版協会・小野寺優理事長(河出書房新社)は、「本当の気持ちを申し上げるならば、私が今最も考えたいのは、いかにしていい本を作って 1人でも多くの人に届けるかという実に単純なこと。そのために業界の問題に取り組んでいる」と述べたうえで、「その時に考えなければいけないのは、読者が本当にワクワクする世界、著者が数多く意欲的に執筆に取り組める世界でなければならないことを忘れてはいけない。いわば本のスタートとゴールを抜きにして、本質的な解決策は見つからないし、それなくして社会からの支持は得られないと思う」と指摘した。

小野寺理事長

 最後に下中美都副理事長(平凡社)が中締めのあいさつを行った。

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