日本出版販売株式会社(日販)は8月25日、出版流通改革の今年7月までの取り組みと進捗をまとめた「出版流通改革レポートVol.7」を発表した。このところの市況悪化に対する対応策や、先に発表した紀伊國屋書店、カルチュアコンビニエンス・クラブ(CCC)との合弁会社、無料で利用できる書店の発注プラットフォーム「NOCS0(ノックスゼロ)」開発などの施策も報告している。
同レポートは2021年9月から4半期ごとに発表し、今年度が最終年度となる中期経営計画で取り組む「出版流通改革」の「取引構造改革」「サプライチェーン改革」の進捗状況を報告している。
「Vol.7」では、21年5月以降、書店店頭売上の前年割れが続き、その要因である来店客数減少を最重要課題として、「売上創出・集客」と「書店運営コスト負担軽減」をレポートに追加。「書店祭」や「バズコレ」、縦型ショート動画ブランド「キラティン」などの取り組みを紹介。
書店の粗利30%を目標にする施策では、「PPIプレミアム」が粗利27.6%、「雑誌買切」は目標粗利アップ率2.5%に対して1.2%アップとなっていることなどを報告。
また、書店粗利改善策の一つ「書店主導による出版流通改革」として、紀伊國屋書店、CCCと今秋設立を予定している合弁会社について言及。書店と出版社が送品数を決定する新たな直仕入スキームを構築し、日販の物流インフラと配送網を活用。3社が保有するシステムやインフラストラクチャー、単品販売データ等を利活用し、欠品による販売機会の喪失を最小化するとともに、売上増大と返品削減を目指すとしている。
「NOCS0」は9月から提供を開始。書店が無料で利用でき、タブレットやスマートフォンにも対応することで、売場や商談先で発注が可能なサービス。さらに、書店運営コスト負荷軽減策として、人件費を抑えたライトユーザー向けの無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」を今秋オープンすることも報告している。
「サプライチェーン改革」の配送課題の解決策として、首都圏の自家配エリアは、全コースを235コースから202コースに再編。名古屋の自家配エリアは10月の実施を目指して準備を進めている。共配エリアについては、取次各社と連携して、カンダコーポレーションの埼玉エリアで7月に33コースから30コースへの再編を実施したことを説明している。
「出版流通改革レポートVol.7」は同社ホームページからダウンロードできる。
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