日販グループホールディングスと日本出版販売(日販)は3月1日、奈良県橿原市の「無印良品 イオンモール橿原」内に日販の直営書店「橿原書店」をオープンする。
「橿原書店」が出店する「無印良品 イオンモール橿原」は、世界最大の売り場面積を誇る無印良品の大型店。日販は、書店と無印良品をシームレスにつなぐ共創型モデル店舗の1店舗目と位置付けており、今後も出店拡大に意欲を示している。
無印良品の中に“書店” 初めての試み
無印良品の中に書店を出店する「橿原書店」のような形式は、今回が初めての取り組み。無印良品を手掛ける良品計画と日販の関わりは2015年から始まり、2020年7月にオープンした「無印良品 直江津」の「MUJI BOOKS」での納品を日販が担当するなど、協力関係が築かれていった。
日々の取引を通じコミュニケーションを重ねる中、“地域土着化”という良品計画のビジョンに共鳴し、日販から「長年地域に文化的に土着し続ける書店とのコラボをしないか」と提案。本を仕入販売するだけの取引関係を超え、今回の店舗共創に至ったという。
取材に対して日販は「共創型モデルは、書店と他業種企業や自治体などの持つ価値・機能・サービスを掛け合わせ、新しい持続可能な書店モデルを創るイノベーションの取り組み」と説明。
そのうえで「今後、無印良品はもちろん、書店の価値と掛け合わせることでイノベーションの可能性が広がる業種・業態を探索し、 成功事例を『共創型モデル書店』として展開していく」と話した。
2484坪の広大な売場 シームレスに共通のレジで
「橿原書店」と「無印良品」をあわせた1フロア2484坪の売場では、無印良品の商品群と書籍約10万冊が売場に並ぶ。書店エリアに専用レジはなく、無印良品の共通のレジで、ひとつなぎの店舗として買い物ができる。
「自然・循環・文化」をキーワードに生活者同士が接する機会の提供や、地域の企業、食、資源、クリエイターとのコラボレーションなどを実施する予定。地域のコミュニティセンターとしての機能も提供するとしている。
「橿原書店」 日常生活の基本となる書店エリア
メインとなる売場面積98坪の書店エリアでは、約5万冊の新刊、話題書、定番書をラインナップし、地域に必要な鮮度ある品揃えを提供する。
企画コーナーを常設し、地域住民が気軽に参加でき、賑わう仕掛けづくりを行う。地域の子ども達に向け本を選書し、つむいでいく企画や、地域のトピックを扱ったトークイベントなどを予定している。
「本と喫茶」 Café&Meal MUJIと橿原書店による憩いのエリア
店内では「本と喫茶」エリアとして「Café&Meal MUJI」が隣接し、書店と喫茶店の共用座席スペースで読書とともに地域の食材を使った料理やコーヒーを楽しめる。購入前の書籍を座席で試し読みすることもできる。
無印良品店内で本を展開するエリア
無印良品店内の中央に位置する直線約100メートルのコンコースでは約2万冊の本を販売。さらに地元企業と地域住民との共同企画を展開。奈良ゆかりの著名人・クリエイターや、地場に根付いた伝統産業の第一人者とともに選書を行うなど、独自の企画を予定する。
また、店内中央には木製遊具や芝生のある空間をつくり、約1万冊の絵本を販売する。奈良で創られた玩具などの体験・購入もできる。
日本出版販売「橿原書店」
コメントと概要
背景と展望「書店減少という社会課題を、共創で解決する」
書店を取り巻く環境は厳しく、書店が一つもない“書店ゼロ”の自治体の数は、現在全国で27.9%に上っています(2024年8月、一般財団法人出版文化産業振興財団調査)。日販では、書店数の減少に歯止めがきかないこの状況を受け、入場料のある本屋「文喫」や、書店経営を圧迫する人件費や後継者不足などの課題を解決する省人化ソリューションに着目した「ほんたす」の開発など、持続可能な書店経営のための新たなモデル開発に取り組んできました。
今回、「店舗が地域のコミュニティセンターとしての役割を持ち、地域課題に対して取り組む」ことを使命に掲げる株式会社良品計画(代表取締役社長:清水 智)の店舗の在り方に共鳴し、無印良品の中で、書籍の販売はもちろん、地域の生活者が文化的に交流できる「コミュニティセンターとしての書店」を出店するに至りました。
オープン日:2025年3月1日
住所:〒634-0836 奈良県橿原市新堂町189番-1外(仮)
売場面積:98坪(書店エリア)
営業時間:8:00~20:00(仮)※無印良品の営業時間に準ずる。
Instagram:https://www.instagram.com/kashiharabookstore2025/?hl=ja
クリエイティブディレクション:株式会社乃村工藝社
内装デザイン:株式会社MuFF
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