大修館書店は8月3日、使い方や使う相手によって〝無礼〟になる言葉を解説し、配慮ある言葉選びをサポートする辞典『無礼語辞典』を刊行した。同書は、昨年7月に刊行され、4刷2万部のヒットになっている『品格語辞典』の姉妹編となる。その実績もあって、書店からの事前注文も多く、発売前重版も決定。同社では、今も売れ行き好調な『品格語辞典』と2冊同時に展開してもらうことで、「新たな読者に手に取ってもらえる機会になれば」と期待している。【増田朋】
「社長のお話に『感心』いたしました」「『相変わらず』お元気そうですね」「今シーズンは『心を入れ替えて』頑張ってください」など、普段の会話やビジネス上でつい使ってしまいそうな言葉も、改まった場所や目上の人とのやりとりで、無礼になる場合がある。
例えば、『相変わらず』は誰もがよく使う日本語だが、この辞典では「前と同じようにの意味だが進歩や変化がないというニュアンスを含む場合がある。『こちらは相変わらずだよ』のように自分のことを言うのはともかく、他人について使うのは注意が必要」と、配慮が必要なことを説明している。
このように、そんな「無礼語」を約600語も取り上げ、どのようなときに無礼になるのかという解説とともに、無礼になる場合の例文や、言いかえ表現を収録している。また、言葉同士の使い分けを図で示した「無礼マップ」も適宜、掲載する。五十音索引や、「分類からさがす見出し語一覧」も完備した。
『品格語辞典』がテレビでブレイク
『無礼語辞典』は、昨年7月刊行の『品格語辞典』に続く、『明鏡国語辞典 第三版』(北原保雄編、2021年刊行)から生まれた類語辞典シリーズの第2弾となる。
『品格語辞典』は、「頑張る」「すごい」「ちょっと」など、誰もが普段よく使っている言葉を改まった場面でも使えるように、〝品格〟ある言葉へと言い換えできる辞典。そのユニークな内容が刊行当初から話題となり、昨年12月にNHK総合「あさイチ」で著作家の永江朗氏が同書を紹介すると、リアル書店、ネット書店で大きな反響となった。4刷2万部となった今も書店で売れており、ロングセラーになりつつあるという。
幅広い層のあらゆる場面に役立つ辞典
品格ある日本語に言い換えられる辞典と、使い方などによって無礼になる日本語を教えてくれる辞典。「対」になる2冊の著者は、日本新聞協会用語専門委員で、元読売新聞東京本社編集委員、『明鏡国語辞典 第三版』編集・執筆協力者の関根健一氏。また、両辞典とも人気漫画家・いのうえさきこさんが描いた挿絵がところどころに収録されている。言葉のプロの解説とともに、クスッと笑える1コマ漫画も合わせて楽しむことができる。
2冊の編集を担当した大修館書店・企画推進部の松岡澪氏は「関根先生の解説は読み応えがあり、いのうえ先生のイラストも含めて、最初から最後まで楽しく読んでもらえる辞典になっている」と自信を持つ。また、「今回の辞典には、『あざとい』など新たな意味を持つような〝新語〟についても解説している。言葉をよく知る人にも、最近の表現の変わりようを知ったり、新たな気づきがあるかもしれない」と一読を薦める。
日常の会話はもちろん、ビジネス上のやり取りやメールの作成、LINEやSNSを書くときなど、幅広い層のあらゆる場面で、この辞典が参考になる。「無礼語」を使ってしまい、気づかないうちに相手に不快な思いを与えてしまうことがあるかもしれない。書店員さんも含め、不特定多数を相手にする接客業の人たちにも需要がありそうだ。
同社の『明鏡国語辞典 第三版』には、「品格」欄や「注意」欄など同書ならではの解説が多く掲載されている。そこから派生した2冊の類語辞典シリーズ。こういったスピンオフ商品を出すことによって、『明鏡』の存在感、ブランドをあらためてアピールしていく狙いもある。
また、『品格語辞典』は新聞広告の効果が大きく、テレビ番組での紹介が売れ行きに拍車をかけた。第2弾の『無礼語辞典』も、前作の実績と〝無礼語〟というテーマのユニークさが相まって、書店からの事前注文がとても多い。そのため、初版7000部から発売前重版を決定。2刷8000部もお盆明け以降、出荷可能となる。8月、9月と全国紙への広告出稿を順次予定しており、書店での2冊展開も含めて、さらなる拡売を目指している。
□『無礼語辞典』(著・関根健一、編・大修館書店編集部)=四六判/256㌻/定価1980円・税込
□『品格語辞典』(監修・関根健一、編・大修館書店編集部)=四六判/304㌻/定価1980円・税込
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