人生から逆算した就職活動
若手起業家が伝える就活で大切なこと

学生の就職支援をする（株）VisionCreator代表の武藤孝幸氏が、今年3月に初の著書となる『史上最強の内定獲得術』を秀和システムから刊行。武藤氏はこれまでに4000人以上を一流企業に就職させた就活塾の主宰、講師を務める。一流企業内定獲得率99％を誇る就活塾代表の武藤氏に、本書への思いや起業した経緯について聞いた。

「創業者」がゆえの強み

就活に関する書籍が多数ある中、本書はそれら就活本とどう違うのか。

自身が就活塾を起業して大事にしているのが、「人生を考えるきっかけとしての就活」というのが根底にあります。他の本はノウハウやテクニックが多いと思いますが、一方、私は実際に働くにあたって、会社の中でどう活躍するかなど、キャリアを中心に講義しています。もちろん本書の中にも具体的なノウハウも収録しておりますが、それ以上に仕事も大事だが、人生をどうしたいのかを考え、そこから逆算して就活すること。それが私の持ち味であり、強みです。そのエッセンスを本書にまとめています。
他の就活塾で、こういう発想をする人は少ないと思います。それは私が自ら起業した「創業者」だからかもしれません。私自身は「自分の人生をこうしたい」を軸に、考え、行動し、起業もしました。その覚悟や思いの強さ、それにともなう言葉の重みは、他の就活塾とは一線を画しているという自負はあります。

本書では一流、二流、三流の学生について触れている。就活において、大きな差がつくポイントは何なのか。

一流は、今すぐに会社に入社しても通用する人。二流は入社してから育つ、ある種伸びしろのある人、三流は時間を守れなかったり、遅刻してしまう人。もうこれは論外ですよね（笑）。
経営者は「20万給料を払ったらこれだけやってほしい」という見返りを求めます。それは経営者としては当然です。だから私の就活塾でも、「君は20万支払って雇う価値はあるのか」と指導しています。多くの企業は即戦力になる人材を求めているし、それができれば、志望動機がなくても内定が取れるようになる。学生達に言っているのは、「選んでもらうのではない。自分たちが企業、キャリアを選ぶものだ」と。
ただしそのためには、一流を目指し、自己研鑽しなくてはなりません。だから一流にさせるために学生たちに講義しているし、そのレベルに達すれば就活は楽しいものに変わるはず。就活がつらい、やらされているというイメージを払拭し、面白い、楽しいものにしていく。それが私の使命だと思っています。

学生のときに未来のビジョンを

起業して5年目の武藤氏。しかし意外にも「堅い」イメージのある、大手銀行での勤務経験を持つ。

もともと大学を卒業して銀行に勤めてから独立したものですから、サラリーマン、起業家も経験しているため、生徒にはその両方の側面からヒントを与えられていると思います。
私が大学生の就活の時に、自分の人生を真剣に考え、将来は社長になりたいと思いましたが、すぐには実力がないため、銀行員になれば、業界を問わず、多種多様な社長に会えると思っていました。
学生の時に、未来のビジョンを見据え、考え抜いたからこそ、今の自分がある。社会人になると、今後の人生という観点から考える機会は少ない。だからこそ、学生には時間がある今、今後の人生を真剣に考えようと呼びかけています。

武藤氏はとにかく就活をつらいものだと思わないでほしいと訴える。本書をどういった人に届けたいのか。

学生はもちろん読んでほしい。大学は社会人になるための準備期間ですから、何なら1年生の課題図書にしてほしいくらい（笑）。入学と同時に学生に無償で配りたいですね。また指導する立場である大学教授や教員の方々にも、ぜひ読んでほしい。
理想はこの本と出合って人生変わったという人が増えてほしいんです。なぜなら、就職する企業や働く環境は、人生を豊かにするかどうかという点において重要なファクターです。極端な言い方をしてしまえば、働く職場が面白くなければ、人生はつまらないものになる。だからこそ、何より自分と向き合える時間がある学生のときに、どういった人生を送りたいのか、そのためにはどういった仕事、企業に就けばいいのか、その点をとことん突き詰めて考えてほしい。本書がその一助となることは、自信を持って言えます。

武藤孝幸（むとうたかゆき）

株式会社VisionCreator代表。1992年、東京都生まれ。早稲田大学卒。大手銀行勤務を経て、2015年、株式会社VisionCreatorを設立。大学生向けのキャリアデザイン、就職活動のサポートする企業を経営。今回が初の著作となる。