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第55回「講談社絵本賞」 降矢なな氏の『クリスマスマーケット』が受賞

左から4人目が降矢氏。野間社長(右)、審査員とともに

 講談社は5月23日、第55回「講談社絵本賞」の贈呈式を東京都内で開催した。『クリスマスマーケット ~ちいさなクロのおはなし~』(福音館書店)で受賞した作者の降矢なな氏に、野間省伸社長から賞状と記念品が贈られた。

 冒頭、野間社長があいさつに立ち、「(コロナ禍を乗り越え)第55回という節目に、皆さまの顔を見ながら贈呈式を開くことができてたいへん嬉しい」と述べ、降矢氏の受賞のことばに寄せて、「世界は依然として不安定な状況にあり、つらい立場に置かれている子どもたちがたくさんいる。降矢さんはどこに暮らす子どもたちも、安心して絵本を楽しめる世界を私たち大人が諦めてはいけないと言う。われわれも心に残る作品を子どもたちに届けることを続けていきたい」とうったえた。

あいさつをする野間社長

 選考委員のきむらゆういち氏は、「読者の期待を裏切らない温かい作品だ」とし、「今回の作品は、審査をしていることを忘れて物語の世界に入ってしまった」と作品を称えた。

選評を述べるきむら氏

 降矢氏はスロバキア共和国ブラチスラバ美術大学・版画科で学んだのちに結婚し、現在もスロバキア共和国在住。贈呈式のために一時帰国した。今作は出来上がるまでに8年掛かり、その間に編集者も3人代わったが、「絵本は、編集者との共同作業だと思っている」と感謝の意を述べた。子犬のクロのモデルは娘にせがまれて飼ったペットで、自身も犬を飼うのは初めてだが、「犬嫌いだったスロバキア人の夫がみるみる犬好きになってしまった」と話し、「ディズニーアニメのように表情豊かな犬と交流するうちに変化する夫や娘、それによって感じた幸せな気持ちを込めた」と話した。また、スロバキア共和国はウクライナの隣国であり、「戦争は遠いけれど身近」と話し、こんな時代だが「日常を大事にして絵本を作っていきたい。スロバキアの暮らしを日本の皆さんに伝えたい」と思いを述べた。

身振り手振りを交えながら絵本の創作について話す降矢氏

 贈呈式のあとは祝賀会が開かれ、選考委員の土居安子氏が乾杯のあいさつを行った。

乾杯のあいさつをする土居氏

 同賞は2023年1月1日から同年12月末までに初版が刊行された本が対象で、正賞として賞状と記念品が、副賞として100万円が贈られた。

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