AIを活用した読書指導アプリ「ヨンデミー」を開発・提供する株式会社Yondemyは、書店と連携して子どもに読書を広め、書店に利益還元するサービスを開始した。11月30日には大垣書店烏丸三条店(京都)でイベントを開催し実証実験をスタート。年明けにはパッケージ化して地域チェーン書店などを中心に参加を呼び掛ける。
アプリ「ヨンデミー」は子どもが自主的に本を読むようになるため、AIがその子に合った本を選び、ゲーム感覚で楽しみながら読書を習慣化するオンラインサービス。推奨年齢6〜12歳の子どもを対象に、月額料金2980円で提供(初月無料)している。
2020年のサービス開始から今年5月時点で累計会員数は1万人を突破。同社の調査によると満足度は93%。入会3カ月で1週間の読書日数が平均2.8日から5.3日に、毎日読書をする割合が11.8%から41.9%に拡大しているという。
書店との連携は、店頭で絵本・児童書購入者に「ヨンデミー」への入会を勧め、登録した場合にはその書店に利用料金から一定割合を還元する。また、「ヨンデミー」の選書に利用している読者レベル別に分けた児童書・絵本のリストを提供するなど、利用者のニーズに対応した棚づくりもサポートする。
書店との連携についてYondemy創業者で代表取締役/CEOの笹沼颯太氏は「オンラインサーピスのコミュニティー機能は人気だが、家や学校では本好きな友人と出合うことは難しい。書店のリアルな場であれば本好き同士の交流が生まれ、ますます子どもは読書好きになる」と説明する。
同社では参加書店に対しては、イベントを開催できるよう自社が取り組んでいるイベントの台本の提供や、品ぞろえや棚づくりに役立つアプリ利用者の読書傾向などのデータ提供も予定している。
書店ではこれまで未来屋書店などでイベントを実施してきたが、来年1~2月にはサービスをパッケージ化して多くの書店に呼び掛ける。その第1弾となる大垣書店烏丸三条店でのイベントは、店頭で「ヨンデミー」の無料体験(30日)を募集し、申込者には希望の児童書・絵本を1冊贈るキャンペーンを展開。贈る冊数や価格の上限は設けたが、キャンペーン費用はYondemyが負担した。
Yondemyは笹沼氏が東京大学在学中の20年に創業したスタートアップ。同年に「ヨンデミー」をリリースした。これまでに3回の資金調達を行い、2024年11月時点でXTech Venturesや旺文社ベンチャーズなどベンチャーキャピタルや個人などからの投資と、融資(日本政策金融公庫・三井住友銀行)をあわせて累計3億円を調達している。
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「AI活用で子どもに読書を定着させるYondemy(ヨンデミー)の試み 書店への利益還元にも着手」
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