啓文堂書店は6月27日、小田急線狛江駅直結の高架下商業施設「小田急マルシェ狛江2」内に啓文堂書店狛江店を再オープンした。小田急マルシェは1998年の開業以来初となるリニューアルが実施され、オープン前日には啓文堂書店内で除幕式が行われた。
昨年7月、商業施設の改修により同店が閉店し、市内唯一の書店がなくなった狛江市だったが、閉店を惜しんだ地元有志が「タマガワ図書部」を設立し、同駅改札横のスペースで市民による選書本イベント「エキナカ本展」を開催。イベントには1カ月で約7000人が来場し、来場者ノートには書店復活を望む市民から多くのメッセージが残された。その声をイベント共催の小田急SCディベロップメントを通して啓文堂書店に届けたことにより、一度閉店した同店の再出店が決まった。
同店の一角には「タマガワ図書部」による選書コーナー「BOOK and BENCH(ブック・アンド・ベンチ)」が設置され、オープン前日の26日には除幕式が行われた。
全国で街の書店が減少している状況を踏まえ、齋藤健経産大臣直属の「書店復興プロジェクト」を立ち上げた経済産業省からは、上月良祐副大臣が出席し、「以前行われた齋藤大臣と書店関係者の車座会合の中で、大臣が注目すべき事例として同店が再出店することを挙げた」とし、「全国の1/4の市町村に書店がなくなっているという状況の中、同店の再オープンは誠に心強い話だった。BOOK and BENCHが市民のつながりの場になり、地域自体がますます発展していくことを願っている」と述べた。
また、狛江市の松原俊雄市長は「市民から書店を復活させてほしいと多くの声が届けられた。今回の再出店は私もうれしく、安堵の思い。今後は市民とともに行政も動き、より魅力ある街にしていきたい」と話した。
タマガワ図書部の山本雅美代表は「市民がブックセレクターとなり選書するコーナーが店を盛り上げ、売上にも貢献できるようになっていければ」と話した。現在「BOOK and BENCH Vol.2」のブックセレクターを募集中だ。
取材に対し、啓文堂書店取締役管理部長の中田充照氏は「狛江市の文化的な拠点として本を身近に感じてもらえるような書店にしたい」と語り、狛江店店長の金子稔幸氏は「店内はもともとあったアーチ状の空間を生かし、開放的に感じられるよう工夫した。啓文堂が以前からフェアで行っていた “小さな出版社”のコーナーも見どころのひとつ」と話した。
売り場面積は約75坪、書籍の品揃えは約3万冊。店内入口には狛江市ゆかりの作家や文化を紹介するコーナーが設けられるなど、本と市民をつなぐ企画の棚が充実している。
□所在地:東京都狛江市元和泉1-8-8
□営業時間:10~22時(土・日・祝日は21時まで)
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